米Red Hat、仮想化や拡張性などを強化した「RHEL 6.3」をリリース

 米Red Hatは6月21日(米国時間)、「Red Hat Enterprise Linux 6.3(RHEL 6.3)」をリリースした。マイナーアップデートではあるものの、仮想化機能「KVM」の強化やパフォーマンス向上など多数の強化が加わっている。

 RHEL 6.3は2010年11月にリリースされたRHEL 6系の最新版。Red Hatでは6か月ごとにマイナーアップデート版をリリースするとしており、スケジュールどおりのリリースとなった。

 RHEL 6.3では多くの改良点が含まれている。まず仮想化関連ではゲストOSに割り当てられる仮想CPUの最大数が64から160に、最大仮想メモリ容量が512GBから2TBに増加した。また、SR-IOV(Single Root I/O Virtualization)対応のネットワークハードウェアサポートが加わり、これを用いて仮想ネットワークカードをゲストシステムに割り当てられるようになった。Intelの「Sandy Bridge」やAMDの「Bulldozer」CPUサポートも行われ、これら最新CPUでより高いパフォーマンスが得られるようになっているという。qcow2ディスクイメージのアクセス性能も改善され、またlibvertで仮想NICのリンク状態を制御できるようになるなど、細かい改良も加えられている。物理サーバー上にあるRHELやWindows環境をスムーズにKVMゲストに変換する「Virt-P2V」ツールも提供される。

 ファイルシステムやストレージも強化された。まず、ユーザースペースで動作するファイルシステムフレームワーク「FUSE」で「O_DIRECT」フラグがサポートされた。これを有効にすることでサーバーキャッシュを介さずに直接ストレージとやりとりでき、レスポンス時間が一貫性のあるものになるという。GFS2も強化され、一部システムでデータの読み込みと書き出しの速度が改善している。LVM(Logical Volume Manager)ではRAIDレベル4、5、6をサポート、ストレージ管理を簡素化できる。

 SSH関連でもいくつかの変更が加えられている。まず、Identity Management Serversを用いてSSH公開鍵を一元管理できるようになった。また、sshd_configファイルにおいて「RequiredAuthentications1」 オプションおよび「RequiredAuthentications2」オプションがサポートされ、たとえば公開鍵認証とパスワード認証など、複数の認証に同時に成功しないとログインできないようにする設定が可能となった。AES-CTR(Advanced Encryption Standard Counter Mode)のサポートなど高度な暗号化機能も追加されている。

 そのほか、大規模システムでのパフォーマンス向上やIvy Bridge版Core i5/i7に搭載されている乱数生成命令「rdrand」のサポート、Rsyslog 5の導入、「OpenJDK 7」のサポートといった改良も行われている。

米Red Hat
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