KDE SC 4.8リリース、ワークスペースやファイルマネージャなどが強化される

 The KDE Communityは1月25日、デスクトップ環境「KDE Software Compilation 4.8(KDE SC 4.8)」をリリースした。電源管理機能やファイルマネージャの強化、タッチ操作しやすいインターフェイスなどが特徴となる。

 KDE SCは、「KDE Plasma Workspace」および「KDE Applications」、「KDE Development Platform」で構成される統合デスクトップ環境。GUIライブラリにはQtを採用している。開発当初は「K Desktop Environment」と呼ばれていたもので、ウィンドウマネージャや各種ツール、アプリケーション、ライブラリなどから構成される。

 KDEは6ヵ月毎のリリースサイクルの下で開発を進めており、バージョン4.8は2011年7月に公開されたバージョン4.7に続く最新版となる。Qtはバージョン4.7.4または4.8を推奨している。

 ウィンドウの管理や切り替え、アプリケーションへのアクセスなどを提供するPlasma Workspaceでは、デスクトップ版(Desktop)とネットブック版(Netbook)が用意されている。Alt+Tabで呼び出せる「Window Switcher」のレイアウトを6種類から選択できるようになったほか、電源管理機構「KDE Power Management System Settings」のデザインが一新され、設定画面がよりシンプルとなり、ACアダプタ、バッテリ、省バッテリという3種類の設定が事前に用意されるようになった。マルチディスプレイにも対応、ディスプレイごとに異なる省電力設定が可能。ウィンドウマネージャ「Kwin」の性能改善や、Qt向けの宣言型言語「QML」を利用するUI作成技術「QtQuick」で作成した通知ウィジェットの導入なども行われている。

 アプリケーション関連では、ファイルマネージャ「Dolphin」、テキストエディタ「Kate」、画像ビューア「Gwenview」、ドキュメントビューア「Okular」、電子メールソフト「KMail」など多数のアプリケーションが強化されている。Dolphinで描画エンジンが改良され、多数のファイルを含むディレクトリや低速なディスクを表示する際のパフォーマンスや、レイアウト変更の速度が改善されているという。長いファイルネームについても省略されずに全文が表示されるようになっている。Kateは、検索と置換のプラグイン、行の変更を知らせるインジケーターなど多数の機能が加わった。このほか、チャットアプリ「KDE Telepathy」のベータ版も加わっている。

 WorkspaceとApplicationsのベースとなるライブラリを含むDeveloper Platformでは、安定性の強化が特徴。パスワードや機密情報を管理・共有するフレームワーク「KSecretService」も加わり、サードパーティを含む各アプリケーション間でのパスワード共有が容易になっている。

 KDE 4.8のソースコードはKDEのWebサイトやソースコードリポジトリなどから入手できる。また、現時点でGentoo LinuxやKubuntu、openSUSEなどがバイナリパッケージをリリースしている。

The KDE Community
http://kde.org/

KDE SC 4.8.0のダウンロード
http://www.kde.org/info/4.8.0.php