FSF、米政府に対し「フリーソフトウェアを採用すれば知的財産権の強化は不要」との公開書簡を提出

 フリーソフトウェアを推進するFree Software Foundation(FSF)は3月25日(米国時間)、米国政府の知的財産執行調整官(IPEC)に対し、政府によるフリーソフトウェアの利用により著作権や特許などの強化を不要にすることを提案する公開書簡を送ったことを明らかにした。

 IPECは2008年に成立した海賊行為対策法「PRO-IP」の下、著作権、特許、商標などの知的所有権(IP)の米国内・外での施行強化を目的に新設された。調整官はVictoria Espinel氏が務める。IPECは、政策に関する助言を「Joint Strategic Plan」としてまとめ、パブリックコメントを募集しており、FSFの公開書簡はこれに対する意見となる。

 FSFのライセンスコンプライアンスエンジニア、Brett Smith氏は公開書簡にて、政府によるフリーソフトウェアの採用、フリーソフトウェアが知的所有権ライセンスに与える影響の2つの点からソフトウェアの著作権とライセンスについて議論している。政府については、自由と透明性の面からフリーソフトウェアを採用すべきであり、市民の税金を効率よく利用できるとしている。

 フリーソフトウェアとライセンスについては、GPLなどのフリーソフトウェアライセンスは私用での制限が少なく、ディストリビューターとユーザーの双方に対しライセンス施行コストを低くするという。プロプライエタリライセンスの場合、インストール本数など制限が課されていることが多く、これを施行するにはソフトウェア開発者は時間とコストを費やして機能を追加する必要があり、ユーザーにも負担を強いるという。懸念が大きいことから、ライセンス施行を追跡する専用ソフトウェアも開発されていると指摘、フリーソフトウェアの採用によりこれらのコストを全て省略できるとしている。

 FSFでは、著作権と特許分野における公共の利益に対する危害の原因は施行の欠如ではなく、過度な施行にあると主張、結論として、政府によるフリーソフトウェアの採用と奨励は、コンピュータユーザーに自由をもたらし施行の必要性をなくすとしている。

Free Software Foundation
http://www.fsf.org/