FSF、MicrosoftのC#とCLI標準へのCommunity Promiseは「抜け道だらけ」と警告
フリーソフトウェアを支援する非営利団体のFree Software Foundation(FSF)は7月16日(米国時間)、米Microsoftによる必要な特許クレームを主張しないとする「Community Promise」をC#とCLI標準に拡大した動きに対し、警告を発した。MonoやC#依存を減らそうという当初の姿勢を固守するもので、解決案として包括的特許ライセンスを提唱している。
6月末、Rechard M. Stallman氏はC#のフリー実装の危険性を指摘、Microsoftが特許を主張する可能性があるとして、コミュニティに対し、MonoやC#依存を減らそうと呼びかけていた。これに対しMicrosoftは7月、オープンソース開発者の疑惑緩和を狙い、必要な特許クレームを主張しないMicrosoft Community PromiseをC#標準の「ECMA 334」およびCLI(共通言語基盤)標準の「ECMA 335」に適用することを発表していた。
FSFが発表した見解によると、Microsoftは2006年11月より公の場で「C#は特許付きのイノベーション」とする発言を行っていることなどから、特許訴訟の危険が十分にあるという。また、1)Monoに含まれているライブラリにECMA標準に含まれていないものがあること、2)Community Promiseは、対象となる仕様実装に「必要な」特許のみを対象としたものであるが、「必要」ではない場合も特許係争に発展する可能性を残していること、などに触れ、Microsoftの約束を「抜け道があり、C#を安全にするものとは程遠い」としている。なお、Mono Projectは、Community Promiseの対象となるECMA標準とASP.NETなどカバーされていない部分の2つに分割することをすでに発表している。
FSFでは解決策として、Monoが利用するすべての特許を対象とした取り消し不能の特許ライセンスをMicrosoftが提供し、フリーソフトウェア開発者を安心させることを提案している。そして、このような約束なしには、フリーソフトウェア開発者はMonoに依存するソフトウェアを作成しないよう再度呼びかけている。
Free Software Foundation
http://www.fsf.org/