米MicrosoftのLinuxドライバ公開の真相――当初GPL違反だった?
米MicrosoftがLinuxドライバのソースコードをLinuxカーネルコミュニティに提出するという7月20日の発表は、概してコミュニティの驚きと賞賛をもって迎えられた。だがその後、Microsoftの決断の背景には、当初MicrosoftがGPLに違反していたという情報が出ている。
Microsoftが発表した同日、“Linux Network Plumber(Linuxネットワーク配管工)”を名乗る米Vyattaの主席エンジニア、Stephen Hemminger氏が自分のブログで事の発端を明かした。それによると、Hemminger氏がVyattaコミュニティメンバーからの問い合わせを受けて調べていたところ、Microsoftの「Hyper-V」のネットワークドライバにあるGPLコンポーネントがクローズドソースのバイナリと静的にリンクされていたことを発見したという。
GPLはクローズドソースと組み合わせることを認めていないことから、Hemminger氏はMicrosoftと近い関係にある米NovellのGreg Kroah-Hartman氏に相談した。そこで、Kroah-Hartman氏がこの問題を解決したという。Kroah-Hartman氏はMicrosoftの今回のコード公開に関与した人物で、Microsoftのコード公開をLinuxカーネルメーリングリストのLKML.orgで紹介している。
Kroah-Hartman氏は、今回のMicrosoftへの働きかけはHemminger氏の発見がきっかけとなったことを認める文章をブログに加えている。だが、Microsoftのプラットフォーム担当上級ディレクター、Sam Ramji氏は7月23日、今回のコード公開について、「GPLv2ライセンスに紐付けされた義務がベースとなっているのではない。Greg Kroah-Hartman氏と蜜に協業したプロセスにおいて、GPLv2ライセンスの下でドライバをカーネルコミュニティにリリースすることが有益だと判断した」と説明している。
Vyattaも7月23日、ブログにてHemminger氏の記述は事実であること、Hemminger氏およびVyattaの最大の目的は、Microsoftに対してGPL侵害を追及するのではなく、自社のオープンソーネットワークシステムをHyper-V環境で動かすことだったと説明している。
米Microsoft
http://www.microsoft.com/
米Vyatta
http://www.vyatta.org/