Google、SNSサイト向けアプリのAPIプロジェクト「OpenSocial」を発表――プラットフォームをオープン化したFacebookやMySpaceに対抗

 米国Googleは10月31日、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトで稼働するアプリケーションの開発用API(Application Programming Interface)を提供するプロジェクト「OpenSocial」を発表した。個々のSNSサイトが独自に提供してきたAPIを共通化するのがねらいと見られる。

 OpenSocialプロジェクトのWebサイトは11月1日(米国西海岸時間)にオープンする予定だ。Googleでは、「OpenSocialが提供するAPIを利用すれば、多くのSNSサイトに対応したアプリケーションの開発/配布が容易になる」としている。

 今回のプロジェクトは、GoogleがSNSを重要な広告媒体として認めたことを意味するものである。Googleは2年前、自社のSNS「Orkut」を立ち上げたものの、同サービスにまったくと言っていいほど注力していなかった。

 OpenSocialをサポートするパートナー・ベンダーは、米国Oracle、米国Salesforce.comといったソフトウェア・ベンダーのほか、「Hi5」「iLike」「LinkedIn」「Slide」「Ning」「Friendster」「Plaxo」といったSNS関連サービス・ベンダーが名のりを上げている。なお現時点では大手SNSの「Facebook」と「MySpace」は、パートナー・リストに入っていない。

 Facebookを運営する米国Facebookは今年5月、サード・ベンダーがFacebook上で稼働するアプリケーションを開発できるよう、同サイトのプラットフォームをオープン化し、多くの外部開発者を引き付けることに成功した。その結果、すでに7,000点を超えるFacebook用のアプリケーションが開発されている。

 またFacebookのライバルであるMySpaceも先月、Facebookの動きに追随する格好でプラットフォームのオープン化計画を発表した。OpenSocialプロジェクトは、両社を牽制するものであることはまちがいない。

 SNSが登場した当初は、SNSはティーン・エージャーや若年層ユーザー間での一時的な流行で終わると思われていた。しかし徐々に利用者層が拡大し、利用目的も「友達の輪を広げる」から、特定の職業や企業のユーザーが「ビジネスのために情報交換する」に変化しつつある。

 GoogleとMicrosoftは今年、Facebookとの広告契約を巡って激しい争奪戦を繰り広げてきた。この戦いはMicrosoftが勝利を収め、破格の2億4,000万ドルでFacebook株式の1.6%を取得した。この買収でFacebookの評価額は150億ドルとなったが、今年のFacebookの売上高予測は、わずか1億5,000万ドルと言われている。

 Facebookの創設者でCEOを務めるマーク・ズッカーバーグ氏によると、同社の従業員数は約300名だが、1年後には700名に増員する予定だという。2004年からスタートしたFacebookは、現在も1日平均25万人の新規ユーザーが登録している。

 米国コムスコアが今年6月に行ったSNSサイトの訪問者数調査によると、MySpaceが1億1,410万人のユニーク・ビジター数を獲得して1位となった。以下、Facebookの5,220万人(2位)、Hi5の2,820万人(3位)、Friendsterの2,470万人(4位)と続いている。ちなみにGoogleのOrkutは、2,410万人で5位だった。

 なおOpenSocialの詳細情報や開発者向けのリソースなどは、今週中に同プロジェクトのWebサイトで発表される見通しだ。

(ホアン・カルロス・ペレス/IDG News Service マイアミ支局)

提供:Computerworld.jp