Citrix、Xenを採用したサーバ/デスクトップ仮想化ソフトを発表――XenSourceの買収完了に伴い、エンド・ツー・エンドの仮想化戦略をアピール

 米国Citrix Systemsは10月22日、米国XenSourceの買収手続きが完了したことと、XenSourceのサーバ仮想化ソフトウェアおよびXen仮想化エンジンをベースに開発された仮想化ソフトウェア2製品を発表した。

 これらの発表は、Citrixの年次ユーザー・コンファレンス「Citrix iForum 07」(米国ネバダ州ラスベガス)の開幕初日に合わせてリリースされた。XenSource、つまり、すでに実績のあるXenベースのサーバ仮想化ソフトやさまざまなXen関連技術を得ることで、Citrixは、サーバ、アプリケーション、デスクトップの3領域で仮想化製品を提供する「エンド・ツー・エンドの仮想化戦略」を実現できるとしている。

 今回、新たにCitrixの製品ラインに組み込まれたのは、サーバ仮想化ソフトの「Citrix XenServer」と、企業向けデスクトップ仮想化ソフトウェアの「Citrix XenDesktop」の2製品である。同社によると、両製品は、アプリケーション仮想化技術を利用する既存の「Citrix Presentation Server」とも統合され、包括的なエンド・ツー・エンドの仮想化ポートフォリオをユーザーに提供することが可能になるという。

 Citrix XenServerは、Xen仮想化エンジンを核に、企業のデータセンターに向けて包括的なサーバ仮想化機能を提供する製品で、発表と同時に出荷が開始されている。フリー・ダウンロードの「Express Edition」から大規模環境向けの「Enterprise Edition」まで、ユーザーは、自社のサーバ・インフラの規模に応じてエディションを選択できる。なお、最上位のEnterprise Editionは、XenSourceがこれまで「XenEnterprise」として提供してきた製品を継承したエディションである。

 一方のCitrix XenDesktopは、ICA(Independent Client Architecture)プロトコルに対応した既存の「Citrix Desktop Server」をベースに、Xen仮想化エンジンによる動作環境が加わった製品で、出荷は2008年第1四半期内を予定している。Citrixによると、同ソフトは、従来型のデスクトップ仮想化製品とは一線を画した性能と機能を提供する製品になるという。

 Citrixは以前より、仮想化は、「アプリケーション・デリバリ・インフラストラクチャ」を提供する唯一の総合ベンダーというポジションを確立するうえで欠かせない技術であると位置づけてきた。米国のIT市場調査会社IDCのプログラム担当バイスプレジデント、ジョン・ハンフリース氏は、Citrixの取り組みを次のように評価している。

 「(XenSourceの買収を完了した)今、Citrixはサーバ/デスクトップ/アプリケーション仮想化技術のキー・プロバイダーとなった。仮想化をエンド・ツー・エンドで提供する基盤は、同社の将来のアプリケーション・デリバリ環境の基本的な構成要素となるものだ」(ハンフリース氏)。なお、IDCは、仮想化製品市場は2011年までに34億ドル以上の規模に達すると予測している。

(河原 潤/Computerworld)

米国Citrix Systems
http://www.citrix.com/

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