欧米の大手企業で進むクライアント仮想化/ブレードPCの導入――コスト/セキュリティ対策が普及の最大要因
欧米企業のPC管理責任者565人を対象にした今回の調査リポートによると、およそ18%の企業がすでにクライアント仮想化ソフトを導入しており、2008年の導入を予定している企業も8%に上った。一方、ブレードPCを導入している企業は16%あった。
クライアント仮想化技術やブレードPCの導入に最も積極的なのは、従業員2万人以上の大手企業である。Forresterのアナリスト、ナタリー・ランバート(Natalie Lambert)氏は、「Virtualization On The Client . . . Finally!」と題した今回の調査リポートの中で、「PC環境の管理とセキュリティ対策に最も苦労しているのは大企業であり、だからこそ最新技術をいち早く導入したいと考えている」と述べている。
コスト/セキュリティ対策の一環としてこうした新技術の導入が企業で加速しているが、このほかにもパッチ適用を含む管理の容易さや、柔軟性の高いリモート・アクセス機能の実現、電気料金の低減なども普及を後押ししている要因である。
ブレードPCシステムの場合は、PCのハードウェア/ソフトウェア/データが社内のデータセンターに収められ、ユーザーはシン・クライアントなどのデバイスを使って、離れた場所から自分たちのPCにアクセスする。
一方、クライアント仮想化には複数の意味合いがあるが、仮想化ソフトがインストールされているホストOS上で、OS/アプリケーション/データを持つ複数のデスクトップ・インスタンスが稼働することを指すのが最も一般的だ。また、データセンター内にあるサーバで仮想デスクトップ・インスタンスを稼働させる技術も、クライアント仮想化と呼ばれることがある。
今回の調査では、4分の1の企業がクライアント仮想化ソフトを導入する意向を示しており(すでに導入している企業や導入計画を立てている企業は除く)、17%がブレードPCの導入に関心があると答えた。
しかし、Lambert氏によると、クライアント仮想化やブレードPCが普及しつつあるのは事実だが、現在のところそのスピードは顕著ではないという。その理由として同氏は、各社とも自社にとって最適な技術を検討している段階だからだと説明する。
同氏は、「現在も企業のコンピューティング環境は非常に複雑で管理しにくい状態にある。 Altiris(Symantecが買収)やLANDeskなどのベンダーは、分散しているPCの整理に役立つ各種ツールを投入することでこの問題に対処しようとしており、Citrix SystemsやWyse Technologyなどは、サーバ・ベース・コンピューティングを通じて統合管理を実現するという道を提示している」と語る。つまり、さまざまな技術が市場には存在しているわけである。
加えてForresterは、ユーザーによってはVMwareやCitrix、Microsoftが有する各種仮想化技術を組み合わせて導入する必要も生じるだろうと指摘している。それは、いずれの仮想化技術も個別の問題を解決するために設計されているからだという。
(Jon Brodkin/Network World米国版)
米国Forrester Research
http://www.forrester.com/
提供:Computerworld.jp