オープンソース・ソフトの相互運用規格「CCV」、OSAがプロトタイプ実装を披露――異なるベンダーのソフト間で顧客情報などが共有可能に
OSAは同コンファレンスでCCVのプロトタイプ実装を披露すると今年4月に公言しており、約束は守られたことになる。OSAの広報担当者で、CCVの開発を主導してきたバリー・クローアンズ氏は、「期限を守ることができた」と胸を張った。同氏は、OSAの設立メンバーであるBI(ビジネス・インテリジェンス)ベンダー、米国JasperSoftのCTO(最高技術責任者)でもある。
CCVは、各種オープンソース・ソフトウェアに格納されている情報を収集し、どのアプリケーションからでも情報にアクセスできるようにする技術だ。例えば、あるERPアプリケーションに入力された顧客情報を、他ベンダーのCRMソフトで自動的に表示できるようにする。会社全体で行われている顧客とのやり取りや顧客の購買行動を一括表示できるようにして、こうしたナレッジがスタンドアロン・アプリケーションに縛りつけられないようにすることが、CCVの開発目的だ。
今年2月に設立されたOSAの主な役割は、オープンソースのERPやCRM、BIソフトなどの相互運用性を高めることにある。オープンソース・ソフトウェアの相互運用標準が存在しない現状では、異なるベンダーのコンポーネントを連携させることが難しく、それがユーザーの不満の種となっているからだ。
現在、OSAのメンバー企業は、Adaptive Planning、Centric CRM、EnterpriseDB、JasperSoft、Openbravo、SpikeSource、Talendといったオープンソース分野の新興企業が中心だ(22社)。唯一例外的な存在と言えるのは、歴史あるシステム・インテグレーターのUNISYSである。
クローアンズ氏は、オープン・ソリューションからプラットフォームへと地歩を拡大することがOSAの次の目標としたうえで、「Sun MicrosystemsやIBMもぜひ(OSAに)加わってほしい」と両社にラブコールを送った。
クローアンズ氏によると、OSAのメンバーは、CCVの開発に取り組み、エンドユーザー組織のCIOたちと意見交換を行うなかで、相互運用性にまつわる新たな課題を見いだしたという。このためOSAは、オープンソース・ソフトウェアの管理監視機能や構成管理機能の開発プロジェクトを計画している。
また同氏は、OSAが認証団体や標準団体になることはないとしたうえで、相互運用性の認証作業などについてはサードパーティに任せる可能性があることを示唆した。
OSAが作成するコードは、非営利の教育/支持団体であるOSI(Open Source Initiative)が承認したライセンスに基づいて提供される。クローアンズ氏によると、OSIが承認した50以上のライセンスのどれを使うのかという判断は、OSAのメンバーに任されているという。
近年、OSIの承認を得ていないライセンスを使っている会社にオープンソース企業を名乗る資格があるのかという点を巡り、オープンソース・コミュニティで議論が展開されている。この問題についてはOSAでも議論されたが、各種のビジネス・モデルを検討する余地を認め、会員資格も限定しないというのがOSAの基本的なポリシーだ。「Open Source Allianceではなく、Open Solutions Allianceという名前にした理由の一端も、ここにある」とクローアンズ氏は語っている。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
Open Solutions Alliance
http://www.opensolutionsalliance.org/
提供:Computerworld.jp