Google、Linux特許共有会社「OIN」とライセンス契約――ユーザー企業の立場でLinux特許問題回避の活動に参加
今回の提携は、GoogleとOINが今週サンフランシスコで開催中の「LinuxWorld Conference & Expo 2007」(8月6~9日)で発表された。
OINのCEO、ジェリー・ローゼンタール氏は、Googleがライセンシーになったことを契機に、さまざまな規模のエンドユーザー企業がライセンシーとして参加することを期待している。「GoogleはLinuxの成功を本気で望んでおり、Linuxのサポートをより声高に表明するようになった」
Googleのオープンソース・プログラム担当マネジャー、クリス・ディボナ氏は、GoogleがLinuxの恩恵をいかに受けているかについて、同社のブログ上で次のように説明している。「Linuxは、Googleが設立されて以来、世界中の数百万人のユーザーにサービスを提供するための処理能力と柔軟性を与えてくれた」
GoogleのようにLinuxを多様な分野で活用する企業は、OINのライセンシーになることによって、特許の問題を気にすることなくソフトウェア開発に専念できるようになる。ディボナ氏は、「ソフトウェア開発者が安心して知識を共有できるようになれば、Linuxの技術革新は急速に進むはずだ」と強調する。
OINは、Linux OSに対する特許権を行使しないという条件の下で、取得した特許を企業や個人にロイヤルティ・フリーで提供している。同社の資金を支えているのは、IBMやNEC、Novell、コーニンクレッカ・フィリップス・エレクトロニクス、Red Hat、ソニーなどだ。
Linuxが特許訴訟のターゲットになる可能性は、今年5月に米国の経済誌『Fortune(フォーチュン)』にMicrosoftに関する記事が掲載されたことで現実味を帯びた。Microsoftの幹部はこの記事の中で、「Linuxを初めとするオープンソース・ソフトウェアはMicrosoftの235件の特許を侵害しているが、訴訟よりもライセンス契約を通して知的財産の問題を解決したい」と発言した。
この記事は当然、Linuxと特許問題、そしてOINをクローズ・アップする結果となった。「私の立場からは、あれは素晴らしい記事だった」とローゼンタール氏は皮肉混じりに語る。
しかし、Microsoftはどの特許が侵害されたのかをいまだに明らかにしておらず、オープンソース・コミュニティの多くの人々と同様、同氏もMicrosoftの意図がFUD(恐怖と不安、疑念)を広げることにあると見ている。
「どの特許が対象なのかを明らかにしてくれれば問題の解決を模索することもできるが、それを明らかにしないのであれば、単に不安をあおっているだけだと思われてもしかたがない」
ローゼンタール氏は、MicrosoftがそもそもLinux OSに関連する特許をどこで取得したのかという点にも疑問を持っている。「LinuxはUnixから派生したものであり、UNIXはWindowsより前から存在していた。Microsoftが所有する特許とは何なのか知りたいものだ」
OINはこれまで、100件以上の戦略的かつグローバルな特許および特許出願権を買い取っており、その詳細は同社のWebサイトに掲載されている。取得した特許は、OSから電子コマース、データベースに至るまで幅広い。
ローゼンタール氏によると、電子コマース・ベンダーであるコマースワンの特許ポートフォリオを1,500万ドル以上で買い取ったのが特許取得の第1号となった。OINのスポンサー企業は特許を取得するための資金を積極的に供与しており、100件以上を買い取った今でも購入資金は潤沢にあるという。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
オープン・インベンション・ネットワーク(OIN)
http://www.openinventionnetwork.com/
提供:Computerworld.jp