Open Solutions Alliance、相互運用性の促進活動に関するロードマップを公開

 Open Solutions Alliance(OSA)から、同団体における最初のメジャープロジェクトであるCommon Customer View Prototypeに関する内容も含めた、相互運用性の促進活動についてのロードマップがリリースされた。またOSAからは、Unisys、CentricCRM、JasperSoft、Openbravo、SpikeSourceの役員から成るボードメンバの人事についてのアナウンスも出されている。

 OSAとは、本年初頭にニューヨークで開催されたOpen Solutions Summitの席上でアナウンスされた団体である。Unisysのオープンソース系業務の責任者兼ジェネラルマネージャを務めOSAボードメンバの1人でもあるAnthony Gold氏の説明によると、同団体の目指すところは、ベンダ中立的な標準を制定して多様なアプリケーション間の相互運用性を確立することであって、企業クライアントから出される、CRM、ERP、NMSといった“情報の相互交換”を必要とする共通性の高いカスタムソリューション構築に伴う個々のベンダ間における開発活動の重複を解消することであるとされている。

 同氏は、こうしたソリューション群が相互に情報交換できないことが根源的な問題であると語り、「それは“情報交換をするには何をすればいいか”を規定した標準が定められていないためです。そのため、例えばCRM用のカスタマデータをアップデートしたら、ERP側の担当者がそれに応じたアップデートを強制されるという事態になっているのです」としている。

 OSAの説明によると、こうした問題を含めた様々な課題を参加企業間において解消することが、同団体の進めるCommon Customer View Prototypeの目的であるという。またGold氏の説明するところでは、Unisysも過去において、大手の証券仲買業者の運用する複合システムにおいて同様の試みを行ったことがあるそうだ。

 「この業者からは、自己資本増加に関するポートフォリオ、オンライン形式の証券会計システム、年金や退職金の専用口座など、実に様々なサービスが商品として提供されていました。そしてこの業者を利用するクライアントも異なるシステムで運用される複数のアカウントを持っており、そこに企業間の買収や合併に伴う追加が積み重なってきたため、社内の各所で雑多なシステムがとりとめもなく同時運用されているという状態でした。そんな環境では何らかの情報を集めようとしても、システムを横断したデータマイニングは不可能であり、アプリケーションが異なれば情報交換すらできないという有り様です」

 Common Customer View Prototypeの進捗度合いは現状で25%程度とされているが、OSA側としては8月のLinuxWorld Expoまでには同プロジェクトを完成させたいとのことだ。OSAから出されたロードマップには、アプリケーション間ビジネスフローを始め、ユーザエクスペリエンスやインフラストラクチャの共通化など、その他の相互運用性に関するプロジェクトも含まれている。

 こうした実務系プロジェクト以外にもOSAでは、オープン系ソリューションの普及活動にも努めており、これらのユーザ、システムインテグレータ、開発者の参加するメタコミュニティの形成や、プロプライエタリ系アプリケーションも含めた各種のオープン系ソリューション間の相互運用性についてのガイドラインおよびベストプラクティスの整備を進めているということだ。

 相互運用性に関する同様の団体としては、Microsoft、Novell、Red Hat、SugarCRMなどの企業が支援するInterop Vendor Allianceという組織が2006年2月に結成されている。

 これら2つの団体の活動内容はよく似たものだが、両団体に共通して参加している企業は存在していない。ただし、CentricCRMのマーケッティング役員を務めるMichael Harvey氏によると、MicrosoftはOSAの活動に関心を示しているそうである。なおOSAの広報担当者による説明では、同団体は何らかの既存組織に取って代わることを意図しておらず、その参加条件についても認可されたオープンソース用ライセンスでの製品リリースをしている企業に限定されることはないとされている。

NewsForge.com 原文