IBM、データミラー買収でリアルタイム・データ処理技術を獲得へ――データ統合ソフトに統合し「Information on Demand」戦略を強化
両社は7月16日、IBMがデータミラーの全発行済み一般株式を1株当たり27カナダドルで取得することで、最終合意に達したことを明らかにした。
IBMが提示した買収額は、トロント証券取引所で過去20日間に取り引きされたデータミラーの平均株価に、19.4%のプレミアムを乗せた価格がベースとなる。この報道を受けて、データミラーの株価は16日、前日に比べ18.2%上昇し、26.6カナダドルで引けた。
株主および規制当局の承認が得られれば、両社の契約は2007年第3四半期中に締結される。
データミラーの「Transformation Server」は、追加/更新/削除されたデータを特定・取得し、変更情報をプロセスやアプリケーション、データベースにリアルタイムに配信する「Change Data Capture(CDC)」ソフトウェアである。
IBMは以前からデータミラーと提携関係にあり、顧客が異機種環境でリアルタイムCDCソフトウェアを必要とする場合には、データミラーの製品を利用するよう推奨していた。しかしここ最近、そうしたソフトウェアに対するユーザーの需要が拡大し、IBMは同技術をみずから所有する必要に迫られたようだ。
IBMの情報プラットフォームおよびソリューション部門で、製品戦略マネジメント・ディレクターを務めるマイケル・カリー氏は、「われわれの『Information on Demand』戦略にとって、データミラーの技術はきわめて重要だ」と述べている。
また同氏は、データに変更が生じた状況を的確に記録し、その場に適した対応を取れるようにすることが、動的なデータ・ウェアハウジングやマスター・データ管理、サービス指向アーキテクチャ(SOA)などの実現には不可欠だと、付け加えた。
Information on Demand戦略は、データが企業内のどこに格納されていても、すべての種類のデータに容易にアクセスできるようにするというもの。IBMが2005年に11億ドルで買収したアセンシャルの技術をベースに2006年にリリースしたデータ統合ソフトウェア「Information Server」が、同戦略の要となる。
IBMは今後も、データミラーのデータ統合/監査/高可用性/データ複製ソフトウェアをInformation Serverに統合するとともに、スタンドアロン製品として販売していくとしている。
IBMは、データミラーの買収完了後、同社製品に関するより詳細なロードマップを発表する予定で、データミラーは、アンブシュ・ゴヤール氏が率いるIBMの情報管理ソフトウェア部門傘下に入るという。
データミラーはさまざまなタイプのデータを幅広くサポートしており、IBMはこうした特徴を高く評価したという。データミラーのデータ統合技術は、 Windows、UNIXプラットフォーム、IBMの「System i」サーバおよびメインフレームに対応し、IBM、Microsoft、Oracle、Sybaseのデータベースをサポートする。また、「PointBase」と呼ばれる独自のJavaデータベースも提供している。
カリー氏によると、データミラーの技術とIBMの既存製品の間には、特別に気になる重複は認められないという。IBMもCDC技術を提供しているが、DB2データベースでしか利用できない。
IBMは、BEA SystemsやBusiness Objects、Microsoft、Oracleをはじめとした企業とデータミラーのパートナーシップを、今後も存続させていく意向だ。カリー氏は、IBMが異機種環境に対応するデータ統合技術を効率的に提供していくうえで、これらの企業との関係は非常に大きな意味を持つと説明している。
オンタリオ州マーカムに本拠を置くデータミラーは、およそ2,200の顧客を抱えている。IBMは、220人の同社従業員すべてを雇用する予定だ。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
IBM(米国)
http://www.ibm.com/
データミラー(カナダ)
http://www.datamirror.com/
提供:Computerworld.jp