HP、データセンター自動化ベンダーのOpswareを16億ドルで買収――Compaq、Mercuryに次ぐ大型買収でIT管理製品基盤を強化

 米国HPが、データセンター自動化ソフトウェア・ベンダーのOpswareを16億ドルで買収することを明らかにした。Compaq、Mercury Interactiveの数十億ドル規模の買収に次ぐ3番目に大きな契約となる。

 HPは7月23日、Opswareに対し、1株当たり14.25ドルで現金公開買付を行う最終的な合意を結んだと発表した。Opswareの株価は同日、7月20日の10.28ドル(引け値)から14.06ドルまで上昇した。

 HPは契約締結後、Opswareをソフトウェア部門に吸収し、同社のソフトウェアをエンタープライズIT管理ソフトウェアに統合していくという。

 HPのソフトウェア部門上級副社長、トム・ホーガン氏は、ニュース・リリースの中で、「複雑化し続けるデータセンターをコントロールし、コスト管理を行う必要に迫られている顧客をHPのソフトウェア部門で手助けできるようにするためにOpswareを取得することにした」と述べている。また同氏は、電話取材に答え、今回の買収について、データセンター管理分野でソフトウェア業界のトップに立つというHPの戦略の一環だと強調した。

 HPは数年前から、MercuryやPeregrine Systemsといった企業買収を通して、BTO(Business Technology Optimization:ビジネス・テクノロジー最適化)関連製品のポートフォリオの拡充に努めてきた。Opswareを含めると、HPは数年の間におよそ65億ドルをBTO関連ソフトウェアの取得に費やした計算になる。HPは2006年に、Mercuryを45億ドルで買収している。

 ホーガン氏によると、Mercuryと同様、HPとOpswareのソフトウェアの間には「ほとんど重複がない」という。同氏は、「Opswareが主に米国を中心に事業を展開しており、当社とBTOパートナーは今後、欧州およびアジア太平洋地域でソフトウェアを販売していくチャンスに恵まれる」と述べている。

 HPは今のところOpswareのソフトウェアを単独製品として販売する予定はないが、今後、顧客のニーズを聞きながら、自社のBTOソフトウェアとの統合を進めていくという。

 OpswareのCEOであるベン・ホロヴィッツ氏によると、同社の顧客数は350以上に上るという。Opswareは基本的にソフトウェアを直接販売しているが、HPの強力な間接販売パートナーでもあるCisco Systemsとは緊密な提携関係を築いている。

 Opswareのホロヴィッツ氏は買収完了後、ホーガン氏の下で、BTO部門の責任者に就任する予定という。ホーガン氏は、Opsware社員の専門知識がBTOビジネス成功のカギを握っているとし、550名のスタッフ全員を移籍させると明言した。

 規制当局の承認が得られれば、Opswareの買収は2007年10月末までに完了する見込みだ。

 Opswareの「Opsware System」は、プロビジョニングや設定および配置などの、データセンター業務を自動化するソフトウェアである。ホロヴィッツ氏とマーク・アンドリーセン氏が2002年に共同で設立したOpswareは、カリフォルニア州サニーベールに本拠を置いている。

 Opsware会長を務めているアンドリーセン氏は、「Mosaic」Webブラウザの開発者として知られている。同氏はNetscapeの共同設立者でもあり、NetscapeがAOLに買収されたあと、AOLのCTO(最高技術責任者)を務めた経験も持つ。

 HPは23日、シンクライアント/仮想化ソフトウェア・ベンダーのNeowareを、およそ2億1,400万ドルで買収する計画も明らかにしている。ホーガン氏は、2社の買収を同時に発表したのはまったくの偶然だが、クライアント管理分野で、OpswareとNeowareの技術を連携させる可能性もあると述べている。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

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提供:Computerworld.jp