HP、ディスクアレイ向けシン・プロビジョニング・モジュールを開発――ストレージ・スペースの効率化と、電力消費/コストの削減をねらう

 米国HPは6月18日、ラスベガスで開催中の年次コンファレンス「HP Technology Forum&Expo 2007」(6月18日~21日)において、同社のミッドレンジ・ディスクアレイ向けシン・プロビジョニング・モジュール「Dynamic Capacity Management(DCM)」の開発に取り組んでいることを明らかにした。

 DCMは、企業内の異なる部署にあるストレージや、異なるアプリケーションに対し、必要に応じて適切なストレージ・スペースを配分するモジュールである。企業はDCMを利用することで、ストレージ・スペースの無駄遣いをなくすことができる。

 HPによると、DCMは2007年後半にリリースされる同社のミッドレンジ・ディスクアレイ「HP StorageWorks EVA(Enterprise Virtual Array) 4100/6100/8100」に搭載される予定だという。なお、価格は3万5,000ドル~4万ドルになる見込みだ。

 一般に企業がストレージ・スペースを増やす場合には、ストレージ・スペースが不足している部門単位で導入したり、不足しているアプリケーションごとに追加したりすることが多い。しかし企業全体で見ると、ストレージ・スペースが余っている部門や、使用されないアプリケーションにストレージ・スペースが割り当てられている場合も多い。

 HPによると、このような場合にDCMを利用すれば、ストレージ管理者は必要に応じて企業のストレージ・スペースを各部門やアプリケーションに配分することができるという。

 また、HPではストレージの利用率が当初の予想より低い場合は、任意の部門/アプリケーションに割り当てたストレージ・スペースを減らすこともできるとしている。

 HPでエンタープライズ・サーバおよびストレージ販売担当副社長を務めるマーク・ゴンザレス氏は、DCMを利用すれば、企業はストレージ・スペースを効率よく利用でき、コスト削減にも役立つと説明する。

 「DCMを導入することで、これまでのようにストレージを購入する必要はなくなるだろう。必然的に電力消費量は削減され、冷却の問題も軽減される。なにより『高価でも今すぐにストレージを購入しなければならない』という、せっぱ詰まった状況から解放される」(ゴンザレス氏)

 米国Forrester Researchでストレージ・アナリストを務めるアンドリュー・ライヒマン氏は、シン・プロビジョニングは技術的な問題と同時に、社内の政治的な問題も解決できると語る。

 「例えば企業のアプリケーション管理者が、あとから格納スペースを追加するのは難しいことから、ソフトウェアの利用領域に多くのストレージ・スペースが必要だと主張したとしよう。しかし、ストレージ管理者は、ストレージを追加購入しなくて済むように、ある程度ストレージ・スペースを残しておきたいと考える。過去の経験上、こういった駆け引きにおいては、ソフトウェア管理者が優位に立つケースが多い」(ライヒマン氏)

 ライヒマン氏は、このような場合でもDCMを導入すれば、ストレージ・スペースの配分が容易に実行できるので、ソフトウェア管理者とストレージ管理者の間でストレージ・スペースの奪い合いをする必要がなくなると指摘している。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国HP
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提供:Computerworld.jp