Scorched 3D:さらに面白くなった戦車バトル

 DOSがDOSであり、真のギークが戦車を使ってどちらかが破壊されるまで交互に攻撃し合う戦争ゲーム「Scorched Earth」をやっていた時代を覚えているだろうか。その古き良きゲームの現代版リメイク「Scorched 3D」には、そのような時代を覚えている人もそうでない人も、オリジナル版の当時のプレイヤたちと同じくらいにはまってしまうかもしれない。なおScorched 3Dは、SourceForge.netの5月のProject of the Month(今月のプロジェクト)にも選ばれている。

 Scorched 3DはC++で書かれており、GPLの下に公開されている。Scorched 3Dには、Windows版、Mac OS X版、Linux版があり、各自のプラットフォーム用のバイナリをダウンロードすることもできるし、あるいはソースコードを取得して自分でコンパイルすることもできる。私はUbuntuリポジトリで提供されているパッケージを取得した。なおゲームを行なうには、ハードウェアアクセラレーションが可能なグラフィックスカードと、そのためのドライバを使用できる方が望ましいだろう。

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スタートアップ画面(クリックで拡大)

 Scorched 3Dのスタートアップ画面には6つの選択肢があり、チュートリアルの開始/シングルプレイヤゲームの開始/ネットワーク(LANまたはインターネット経由)ゲームの開始/ネットワーク対戦用ゲームサーバの起動/ゲームの設定の変更/ヘルプファイルのHTMLとしての閲覧(ヘルプファイルのインストールを前提)をそれぞれ実行することができる。なおUbuntuでヘルプファイルを閲覧するためには、ゲーム本体の他にscorched3d-docパッケージをインストールする必要がある。

 なお、最初にゲームの設定ページに行ってゲーム画面用のウィンドウサイズを選んでおくと良いかもしれない。さらにそのついでに、設定可能なその他の機能や項目についても眺めてみよう。何も変更しなかったとしても、このプロジェクトの品質の高さと、開発者たちがこのプロジェクトに注ぎ込んでいる細部にまで渡る気配りを感じることができるはずだ。

ブートキャンプ:チュートリアル

 ゲームの基礎的なプレイ方法を把握するために、少なくとも一度はチュートリアルを流し見ることをお勧めする。チュートリアルはインタラクティブなツアー形式になっていて、MOTD(本日のメッセージ)/Rules(ルール)ウィンドウから始まり、ユーザ名、キャラクタータイプ、戦車アイコン、色などの設定方法の説明などに進む。次に「アリーナ」とも呼ばれる「島」に移動して、単純明快な言葉でゲームの内容が説明される。「ここがScorched3dのアリーナ(戦場)。ゲームの目的はこのアリーナ内の他のすべての戦車を破壊すること。最後に生き残った戦車がラウンドの勝者であり、最も多くのラウンドを制した戦車がゲームの勝者となる」。

 また基本的なキーボードの使用法についての説明もある。例えばSの入力でスコアを表示し、Aの入力で選択した標的に自動的に照準を合わせ、0から9の各キーの入力で島の様々なカメラビューを表示するなどがある。なお、3を入力した場合には自分の戦車のクローズアップビューが表示されるのだが、それは私の見たかったものではなく少し苛立たしかった。そうではなく狙った相手の戦車をクローズアップしてほしかった。

 別の方法として、島の中の一部分を左クリックすることでも、表示したい部分を見ることができる。またこのゲームが単に「Scorched」ではなく「Scorched 3D」という名前であることの例として、マウスを右クリックしてドラッグすることにより、その右クリックの位置で指定される場所をカメラビューの中心として、島のビューを回転させることができる。さらにマウスのホイールを使って、選択したビューポイントをズームイン/ズームアウトすることもできる。

Arena
アリーナ(クリックで拡大)

 右の図から分かる通り、ゲームのプレイ用インターフェースのウィンドウは基本的に、アリーナのビューと画面の各コーナーの丸い領域から構成される。右上の丸の中には、アリーナの全領域を3万フィートの高さから見下ろしたグローバルビューと、その中の各プレイヤの位置を示したマークが表示される。右下の丸の中には、自分の戦車の状態についての情報が表示される。左下の丸の中には、選択中の兵器、弾道、パワー(弾薬量)などの兵器情報が表示される。そして左上には、風についての情報が表示される。なお風についての情報は敵を正確に狙うために必要となる。

 標的を狙うということに関してさらに言うと、砲撃の標的にする戦車をどれにするのかを決めた後には、左右の矢印キーを使用して、兵器を標的のいる方角に定める。また弾道の調節には上下矢印キーを使用し、発射速度の調整にはプラス/マイナスキーを使用する。ちなみに私の経験からアドバイスすると、強い風が吹いていないときに真上に向かって砲撃すると、自分の命にかかわることが起きてしまう。したがって弾道は必ず90度以外に設定するようにしよう。

 以上の説明で難しいゲームのような印象を与えてしまった場合のために言うと、実際にはこのゲームは難しくはない。標的の方角を定める。風を考慮する。弾道を調節する。パワーを調整する。発射! 外したら、生き残れることを祈りながら再び自分の番が来るのを待つ。そして前回の砲撃が実際に当たった場所をヒントにしてパラメータを練り直し、再び発射する。砲撃が標的に当たり破壊することができたら成功だ。次の標的を探して、同じことを繰り返す。

 敵を破壊するとその度にいくらかの資金が与えられ、それを利用して自分の戦車のための防御用/攻撃用の兵器を購入することができる。各ラウンドの最初に、自分の資金の残高と売りに出されている兵器を示すウィンドウが表示される。デフォルトでは「ミニミサイル」を持った状態で始まるが、資金さえあれば核兵器やレーザー兵器やその他あらゆる種類の危険な兵器を購入することができる。

ネットワークプレー

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ネットワークプレー(クリックで拡大)

 ブートキャンプで訓練を十分に受け、ソフトウェアが生成した敵に対してローカルで練習したら、LANやインターネット経由で生の敵を相手に腕試しをしよう。スタートアップ画面で「Join a game…(ゲームに参加…)」という説明の隣にあるアイコンをクリックすると右のような画面が現われる。そこでInternetかLANをクリックして選ぶと、検出されたサーバがサーバセクションに表示される。その中からサーバを一つ選ぶと、プレイヤセクションにプレイ中のプレイヤが表示される。最後に、ウィンドウ右下の「Join Game(ゲームに参加)」をクリックする。

 するとMOTD(本日のメッセージ)/Rules(ルール)ウィンドウとその背後にゲームのアリーナが現われる。Rules(ルール)ウィンドウの「OK」をクリックしてブートキャンプで教わったように自分の個人情報を設定したら準備完了だ。ゲームに参加して敵を破壊することができるようになる前にはおそらく、新しいラウンドが始まるまでしばらく待つ必要があるだろう。順番が回ってきてプレイできるようになったら、ゲームのプレイ用ウィンドウにメッセージが表示される。

まとめ

 Scorched 3Dは非常に完成度の高いゲームで、私が今までに見た中でも最高レベルのフリーソフトウェアだ。楽しいだけでなく、文書も優れている。SourceForge.netの今月のプロジェクトに選ばれたりUbuntuのレポジトリに追加されているのもまったく驚くべきことではない。さらに、ゲームに没頭して楽しむことができるようになるまでに、やり方を覚えたりコツを掴んだりするための時間がさほど必要ないということも素晴らしい。10段階で評価するとしたら私は8を与える。

 最後にもう一つアドバイスすると、Scorched 3Dゲームサーバ上でプレイする際にWarthawgという名前の戦車を見かけたら、早く逃げた方が身のためだ。軍隊での戦車指揮官としての経験はたった2、3日しかないとは言え、腕が良いので私はすでにサーバ上のランキングで842位のランクにいるのだ。

NewsForge.com 原文