Linuxに対応した商用ゲームの新規タイトルが年末にリリース予定

 Hothead Gamesからは、「Penny Arcade」という人気のオンラインコミックをベースにした新作ゲームシリーズのリリースが近日中に予定されている。だがそれよりも喜ぶべきは、このゲームは最初からマルチプラットフォーム展開が想定されており、その中にはLinuxも含まれているというニュースであろう。

 こうした普及型商用ゲームの新作リリースについて、Linuxユーザは常に不遇をかこってきた。実際問題としてこの業界においてLinuxゲーマの存在は、見落とされるか忘れ去られるか無視されてきたというのが現実である。それでは何故今になってHothead Gamesは、Linuxプラットフォームのサポートを開始したのだろう? Hothead GamesのCOOを務め、新作タイトル「Penny Arcade Adventures: On the Rain-Slick Precipice of Darkness」の発起人でありプロデューサの任にあるJoel DeYoung氏は次のように説明している。「弊社Hothead Gamesでは、どのプラットフォームでゲームを実行するかはゲーマの選択することであって、制作元が強制するものではないと考えています。そうした理念の下、開発する作品については可能な限り広範なプラットフォームで利用可能にするよう努めている訳です」

 「Linuxのサポートについては、それが正しい行為だと考えたから行うだけのことで、詳細な投資分析に基づいたという性質のものではありません。Linuxプラットフォームでプレイ可能なゲーム数を増やすのに貢献したい気持ちもありますし、それは長期的に見て、Linuxゲーマや弊社Hotheadを含めたインディ系開発コミュニティの双方にメリットをもたらすはずです」

 Windows、Apple、Linuxというクロスプラットフォームでのリリースは、2006年9月に行われた最初のアナウンスにおいて既に告知されていた事項であるが、最近になって「Penny Arcade Adventures」と題されたゲームが再度ニュースに取り上げられ始めたのは、先月にシアトルで開催されたPenny Arcade Festival(PAX)の席上、年末に予定された初回リリースに引き続き2008年にはXboxに移植されるとのリリースがHotheadsから出されたためである。

 DeYoung氏の語るところでは、シングルプラットフォームのみを作成する場合に比べて、マルチプラットフォームに対応したコードの開発と管理をする負担は、コスト的にも大きなものになるとされている。「要は、余分な仕事が増えるからです。開発者側の視点で言うと、特定のプラットフォームに依存するコード部については、より低レベルの構造にまで遡って抽象化をしておく必要があるため、プロジェクトの構成もそれに合わせなければなりません。これはLinuxだけでなく、Xbox 360のようなコンソール型プラットフォームに対しても当てはまる話です」

 実際にどの程度のLinuxユーザによる需要が見込めるか、同社は確かなデータを有していないそうであり、その理由を説明するDeYoung氏の言葉を借りると「ご存じのように、現状でこの種のゲーム数が限られすぎているからです。もっとも以前からLinuxコミュニティからはゲームの品揃えを充実してくれという声が届いていたので、当社としても、実際にゲームの現物がリリースされた暁にはもっと具体的なレスポンスが聞かせてもらえると思っています」ということになる。また同氏は、今回のゲームに関するアナウンス後に返されてきたフィードバックについても語っており、「どれも好意的な意見ばかりでした。つまり以前からLinuxネイティブなゲームに対する潜在的な需要は大きなものが存在していた訳で、そこに弊社が正式なサポート宣言をしたので、コミュニティでの株を上げられたといったところですかね」ということだ。

 コミック「Penny Arcade」をベースにした一連のゲームタイトルは、本年末を発売予定日とする「Penny Arcade Adventures: On the Rain-Slick Precipice of Darkness」をその第一弾として、その後は数カ月間隔での続編リリースが予定されている。現状で予定価格は発表されていないが、DeYoung氏自身は1エピソード20ドル以下になるだろうと語っていた。

Linux.com 原文