ゲームの魅力を教えてくれる「Cold War」

静かに! そこの君、そう、Linuxを使っている君のことだよ。ぜひ力になってほしいんだ。私はMatt Carterというフリーランスのジャーナリスト。今は1986年、冷戦の真っ只中だ。Grushkovという名のソ連の秘密諜報員とともにクレムリン内部に捕らわれている。もし脱出できなければ、死あるのみだ……。とまあ、これがMindware StudiosLGPから聞いた「Cold War」のストーリーである。

Lokiの終焉以来、私はLinuxで商用のゲームをプレイしておらず、長い間そうした環境からは遠ざかっていたのだが、今になってその状況は一変した。このところずっとCold Warにハマっているのだ。私が求めていたのはまさにこの手のゲームである。

Cold Warは自分の視点で描画されるシューティングゲーム(FPS)ではない。「Quake III Arena」よりも「Indiana Jones and the Last Crusade」に近いタイプのゲームだ。

このゲームには、ストーリー(Story)、タイムラン(Time-Run)、パシフィスト(Pacifist)、ゴースト(Ghost)の各モードがあり、どれか1つを選んでプレイを行なう。ストーリーモードにはすべてのモードの要素が含まれているが、それ以外の3つのモードはそれぞれに趣向が凝らされている。タイムランモードでは各レベルを一定時間内にクリアしなければならず、パシフィストモードでは1人も敵を倒すことができない。また、ゴーストモードでは移動中に作動できる警報の数が制限されている。このゲームでは密かな行動が大いに求められる。

プレイヤーの分身であるキャラクタを操作して画面を動き回らせるには、各移動キー(前:W、左:A、右:D、後ろ:S)、マウス、トラックホイールを組み合わせて使用する。マウスによってキャラクタを追跡するカメラ視点を変更し、トラックホイールによって移動スピードを増減させる。なおスピードは、敵に気付かれずに移動するための非常に重要な要素だ。速く移動するほど人目につきやすく、物音を立てたり見つかったりすれば、ひどい目に遭う。最初のうちは、隠密行動時の上限スピードを超えて命を落とすという経験を繰り返すことになるだろう。

また、ドアを開ける、落ちているものを拾う、など周囲の物体に働きかけることもできる。こうした動作は、画面の右上隅に現れる「アクションメニュー(Action Menu)」を使って、ゲームの状況により必要なときに行なう。このメニューはマウスの右ボタンで表示され、選択肢のリストを上下にスクロールさせながら動作を選択できる。押し続けていたマウスの右ボタンを放すと、メニュー中で強調表示されている項目が実行される。

ゲームの鍵

Cold War install ゲームのプレイ中に、ESCキーを押すとメインメニューが表示される。メインメニューからは、新規ゲームの開始、ゲームの再開、ゲームのロードまたはセーブ、オプションの設定、終了の各操作が行える。W-A-S-Dの移動キーやデフォルトのアクション/アイテム選択の各キーが気に入らなければ、「オプション(Options)」メニューを使って好みのキーに割り当て直すことができる。

プレイには一部のファンクションキーも利用する。F1キーは現在のレベルにおける目的の表示、F5キーはクイックセーブ、F9キーはクイックロードにそれぞれ対応している。だが、最も興味深いファンクションキーはF2キーだ。

F2キーを押すと、「組み立て(Assembly)」画面が表示される。クレムリン周辺を苦難を乗り越えながら進むなかで、布、エーテル、ペットボトルなどのアイテムを拾いつつ必要な「技術ポイント(Tech point)」を集めれば、スペシャルアイテムを組み立てることができる。技術ポイントは設計図の入った書類ケースを拾うことで加算される。組み立てたアイテムは、敵を倒したり、敵から逃れたりするためにプレイ中に使うことができる。そうしたアイテムには、標準仕様ピストル用の殺傷能力のないゴム弾、敵の目をくらます攪乱装置などがある。

プレイする際に最も重要なキーの1つがCaps Lockキーである。このキーは、敵に見つからないように身をかがめた姿勢に移るとき、またすばやく移動するために身をかがめた状態から再び立ち上がるときにも使う。

ゲームを始める

レベル1は純粋にトレーニング用として用意されている。ゲートを開ける、警備員を倒す、その遺体を調べる、遺体を収容する、遺体を棄てる、といった動作を行なうためのアクションメニューの使い方を教わることになる。また、身をかがめる、ゆっくりと移動する、物陰に隠れる、物体を隠すなど、自らの存在を消しながら移動することの重要性も教えられる。

実際にゲームを始める前には、背景となるストーリーの説明があり、プレイヤーキャラクターを抹殺しようと企む邪悪な連中がいることを知る。もちろん、ゲーム中のプレイヤーキャラクタはそのことを知る由もないのだが、プレイヤー自身はわかっているわけだ。悪党達の企みを観客は知っているが主人公のヒーローは知らないという状況は、まるで土曜日の午前中に放送されるドラマのようだ。

ゲームを進めて行くと至るところでプレイが中断され、何が起こっているのかを知らせてくれるイベントや会話の場面が登場する。たとえば、レベル1では、アクションメニューを使って最初のゲートを開けるように教えてくれる。レベル2の最後では、苦労の末にクレムリンから脱出したところで悪党どもの運転する車にはねられ、投獄されてしまう。続くレベル3では、KGB(旧ソ連の国家保安委員会)の秘密監獄でロシア人の諜報員Grushkovと一緒に囚われの身になっているところから始まる。この監獄を生きて脱出するにはGrushkovと手を組み、チームとして行動しなくてはならない。ただし、これ以上のヒントをお教えすることはできない。なぜなら、その先は私も知らないからだ。

動作環境と価格

Linux版のCold Warをプレイするには、カーネル2.2.x以降、glibc-2.1以降、X 4.3.x以降、450MB以上のRAM、1.1GB以上のハードディスク空き容量、最低64MBのメモリを備えたハードウェアアクセラレーション対応の3-Dグラフィックカード、OSSまたはALSA互換のサウンドカードが必要だ。Linux版Cold Warは、LGPとの関係を持ついくつかの販売業者を通じて購入できる。Tux GamesおよびStormFront Venturesから購入すれば、LGPの定価より15ドルほど安い約45ドルで手に入る。だが、この45ドルという価格でも、LinuxゲーマーはWindowsユーザよりも15ドル近く余分に払っていることになる。

プレイを開始してから8時間経っても、まだ私は全レベルのクリアに向けてゲームを続けているが、本当に楽しいゲームだ。ハイクオリティなグラフィックとサウンド、知的なゲームデザインを誇るCold Warは、私がここ何年かプレイしてきた、敵を倒すだけのありきたりなFPSゲームばかりの状況に救いの一石を投じる作品だ。

NewsForge.com 原文