「Qt 5.15 LTS」リリース、Qt 6に向けグラフィック関連を強化
The Qt Companyは5月26日、クロスプラットフォームのユーザーインターフェイス(UI)/アプリケーション構築フレームワーク「Qt 5.15 LTS」を公開した。5系最後のリリースとなり、長期サポート版(LTS)として3年間のサポートが提供される。
Qt 5.15は、2012年に公開されたQt 5系の最新版。1月公開のQt 5.14に続くリリースとなり、5系では最終リリースとなる予定。開発チームは次期版「Qt 6」に向けた開発を進めており、5.15ではQt 6公開後にコードを容易にマイグレーションできるよう、Qt 6で削除予定の機能にフラグを立てている。Qt 6は11月に公開を予定している。
Qt 6で進めるグラフィックスタックのアーキテクチャの変更に向け、5.15ではオプションとしてその一部となるQt Rendering Hardware Interface(RHI)をテクノロジープレビューとして導入した。RHIは3DグラフィックAPIを抽出するレイヤーとなり、Qt QuickアプリケーションをOpenGL、AppleのMetal、Khronos GroupのVulkan、MicrosoftのDirect 3Dなど様々な3DグラフィックAPI上で動かすことができるという。
グラフィックではまた、Qt Quick 3Dのサポートが正式扱いとなった。Qt Quick 3Dは5.14でテクノロジープレビューとして導入したツールで、QMLで3Dシーンを定義したり、メッシュやライトなどを定義できる。正式扱いとなったことで、3DコンテンツをQt Quickベースのアプリケーションに容易に導入できるという。
Qt Design Studioでも、Qt Quick 3Dをサポートする「Qt Design Studio 1.5」を同日公開している。また、Qt QMLとQt Quickも強化が加わっている。
5.14でテクノロジープレビューとして導入したQt Lottieが正式扱いとなった。After EffectsアニメーションをQtアプリケーションに導入できるモジュールとなる。
このほか、Qt NetworkでのTLS 1.3セッションチケットと設定タイムアウトのサポート、Qt WebEngineでのChromium 80対応、Qt 3Dでのプロファイルとデバッグの強化など、多数の機能強化が図られている。
The Qt Company
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