AndroidとiOSに実験対応した「Qt 5.1」がリリース

 フィンランドDigiaのQt開発チームは7月3日、C++アプリケーション/UIフレームワークの最新版「Qt 5.1」をリリースした。実験的ではあるがAndroidとiOSの対応が加わるなど、新機能が盛り込まれている。

 Qt 5.1は2012年12月にリリースされたバージョン5系の最新安定版となる。3000以上のバグを修正し安定性と性能を強化したという。同日には開発ツール「Qt Creator 2.7.2」も公開されている。

 Qt 5.1では多数の改良が加えられているが、その中でも特徴的なものとしてGUI構築技術「Qt Quick」向けの「Qt Quick Controls」やレイアウトモジュール「Qt Quick Layout Managers」、「Qt Mobility」に含まれていた「Qt Sensors」モジュールなどの追加、「Qt Serialport」モジュールなどが挙げられている。

 Qt Quick Controlsは、Qt Quick用の再利用可能なGUIコントロール集。Qt 5.1で新たに導入された。Qt QuickでGUIの作成に利用されるQML言語で構築されており、アプリケーションウィンドウやメニューバー、ステータスバー、ツールバー、各種ビュー、ボタンやボックスなどのコントロール、メニューといったコンポーネントが提供されている。将来的はマルチプラットフォームに対応する予定とのことだが、現状では主にデスクトップ型のアプリケーションに適しているという。Styling APIを利用してカスタムスタイルの作成も可能という。

 Qt Quick Layout ManagersはQt Quick Controlsおよび既存のQMLエレメントで利用できるUIレイアウト管理エレメント。C++ベースの「QWidgets」などとの併用もでき、ハイブリット型UIを作成して段階的にQt Quickにマイグレーションできるという。

 Qt 5.1では対応OSやプラットフォームの拡大も行われている。開発環境としてVisual Studio 2012がサポートされたほか、Windows環境ではレンダリングエンジンとしてOpenGL on WindowsもしくはDirectXを利用する「ANGLE(Almost Native Graphics Layer Engine)」が選択できる。さらに、モバイル向けとしてQt for AndroidやQt for iOSもテクノロジプレビュー段階として利用可能になっている。「Necessitas」プロジェクトで進んでいたAndroidはかなり堅牢なレベルに達しているとのことで、Qt 5.1のほとんどの機能が利用できるという。iOSはQt Quick 2など一部未対応の技術があり、Qt Creatorにもまだ統合されていない。AndroidとiOSは共に、次期版となるQt 5.2では正式サポートになるという。

 センサーハードウェアにアクセスできる「Qt Sensors」、物理/仮想のシリアルポートとのインターフェイスとなる「Qt Serial Port」といった新しいモジュールも追加されている。

Qt Project
http://qt-project.org/

フィンランドDigia
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