Nokia、全Qt事業をフィンランドのDigiaに売却

 フィンランドDigiaは8月9日、フィンランドNokiaのQt事業部 (Qt 4.x: , Qt 5: ) を買収したことを発表した。同社はすでにQtライセンス事業をNokiaから取得しており、今回の買収によってQtの全事業を手に入れることになる。Digiaは早くも、QtをiOSやAndroid、Windows 8に対応させる計画を明らかにしている。

 Digiaはフィンランドのソフトウェア開発企業で、モバイル向けをはじめさまざまなソリューションを手がける。同社は2011年3月、NokiaよりQtの商業ライセンス事業を買収している。

 今回、NokiaはQtの全事業をDigiaに売却する。これには製品開発やオープンソースライセンス、サービス事業などが含まれ、DigiaはQtの全事業に責任を持つ。同時に、NokiaでQtに携わる社員最大125人がDigiaに移籍する。DigiaによるとQtライセンス事業は成長しており、全事業を獲得することでQtエコシステムにおけるポジションを改善すると買収の狙いを説明している。

 Digiaは今後の計画として、Qtの研究開発を強化しプラットフォームを拡大することを明らかにしている。現在対応していないiOSやAndroid、Windows 8については「すぐに実現する」としている。また次期版「Qt 5」のリリース計画を進めるとも述べている。Qtのユーザーに対し、「最先端のクロスプラットフォームの開発フレームワークとなるよう今後もQtに投資する」とし、安心して開発などの作業を継続するよう呼びかけている。今後もオープンソースと商用の両方で提供を続けるとも約束している。Digiaによると、Qt開発者は45万人いるという。

 QtはノルウェーTrolltechが開発したクロスプラットフォームのUI/ソフトウェア開発フレームワークで、ライセンスはLGPL。Nokiaは2008年に同社を買収している。当初、Symbian、Maemo/MeeGoなどNokiaの携帯電話で利用されるプラットフォーム向けの開発ツールと位置付けられていたが、Nokiaは2011年に米Microsoftと提携、Windows Phoneの採用を進めており、その立場が明確ではなかった。さらにQtのオーストラリアオフィスを閉鎖したことから、売却の噂も出ていた。

フィンランドDigia
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