Qt Quickの統合を進めた「KDE SC 4.10」がリリース

 The KDE Communityは2月6日、デスクトップ環境「KDE Software Compilation 4.10(KDE SC 4.10)」をリリースした。UI作成フレームワーク「Qt Quick」の統合を進め、一貫性と安定性を強化した。

 2012年8月にリリースしたバージョン4.9以来のメジャーリリースとなる。当初1月に公開を予定していたが、最終調整作業のために公開を延期していた。

 KDE SCはデスクトップ環境「KDE Plasma Workspaces」、アプリケーションの「KDE Applications」、開発環境「KDE Development Platform」の各コンポーネントで構成されており、それぞれが強化されている。

 KDE Plasma Workspacesでは、UI作成フレームワーク「Qt Quick」の利用が拡大した。これによりデザインや操作の一貫性や安定性が向上し、Plasma Workspacesの拡張やカスタマイズも容易になるという。安全性が強化されたスクリーンロッカーやタスクウィジェット、通知システムなどが改善されたほか、高解像度画面のサポートも行われている。

 ウィンドウマネージャー「KWin」では、アプリケーションによるデータアクセスやダウンロードを容易にするGet Hot New Stuff(GHNS)アプローチを統合した。また、新しいエフェクトやウィンドウマネージャの動作を変更するスクリプトも追加されている。仮想マシン上での動作も改善され、仮想マシンドライバなどを検出して状況に応じてOpenGLレンダリングを利用するという。一方、タイル表示は安定性の問題により削除された。次期版でJavaScript APIを利用したプラグインでの提供を予定しているという。メニューバーに表示されるアプリエーション向けの共通メニュー「KDE appmenu」も導入された。appmenuはデフォルトでは隠されているが、画面の上端にマウスポインタを動かすことで表示される。また、オプション設定でウィンドウのメニューバーにappmenuボタンを表示させることもできる。

 このほか、ファイルマネージャ「Dolphin」ではモバイル端末とのデータのやりとりが容易になるなどの機能強化が図られている。メタデータエンジンの強化やプリントマネージャの改善も行われた。

 アプリケーション(KDE Applications)では、テキストエディタ「Kate」、IMクライアント「Kopete」、個人情報管理「KDE PIM」、端末エミュレータ「Konsole」などのアプリケーションが強化された。たとえばKateでは通知システムを改善、Konsoleはプリントスクリーン機能やシグナルの送信機能などKDE 3で提供されていた一部機能が復活している。

 KDE Development Platformでは、Plasma SDKを強化、plasmoidviewer、plasamengineexploreなどこれまで独立していたコンポーネントがウィジェット開発ツールセットのPlasMateに統合された。Qt Quickのサポートも強化されている。

 KDE SCはプロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。KDE SCの利用にはQtが必要だが、開発チームはQt 4.8.4など最新バージョンの利用を推奨している。

The KDE Community
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