プラットフォーム抽出化レイヤが加わった「Qt 4.8」がリリース

 フィンランドNokiaのQtは12月15日、マルチプラットフォーム対応のUI/アプリケーション開発フレームワーク「Qt 4.8.0」をリリースした。2010年秋のバージョン4.7リリース以来となるメジャーアップデートで、プラットフォーム抽象化レイヤの導入が特徴となる。

 Qt 4.8.0では、「Lighthouse」というプロジェクト名で開発が進められてきたプラットフォーム抽象化技術「Qt Platform Abstraction(QPA)」が導入された。GUIスタックを再構築するとともにプラットフォームを抽象化したレイヤを提供、これによりさまざまなウィンドウシステムやデバイスに向けたポーティング作業が容易になるという。

 また、スレッド付きOpen GLのサポートも行われた。複数のスレッドで平行してOpenGLのレンダリングを実行できる。HTTPのマルチスレッド化にも対応、HTTPリクエスト処理はメインのスレッドとは異なるスレッドで動作するのがデフォルトとなった。メインのイベントループにネットワーク処理が干渉しなくなり、アプリケーションのGUIがよりスムーズになるという。

 ファイルシステムスタックも一新し、I/O性能などの最適化を図った。これにより、全プラットフォームでパフォーマンスが改善されているという。また、Qt版WebKitの「QtWebKit 2.2.1」では、HTML、CSS、JavaScriptなどの機能が強化された。

 Qt 4.8.0はWindowsおよびMac OS X、Linuxに対応、バイナリとソースコードを同社のWebサイトよりダウンロードできる。なお、Qt開発チームは先にNokiaからの独立を図るため、Qt Projectとして運営していくことを発表しており、現在Qt 4の移管を進めるべく検討中だと報告している。

フィンランドNokia
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Qt
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