GPUデコードが加わったVLC 1.1.0登場、AOLの要請によりSHOUTcastサポートは除去

 非営利団体VideoLAN Projectは6月22日、オープンソースのクロスプラットフォームマルチメディアプレーヤー「VLC 1.1.0」を公開した。Windows、Mac OS X、Linuxに対応、プロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。

 VLCはさまざまなオーディオ・ビデオフォーマットに対応したクロスプラットフォームのメディアプレーヤー。VLC 1.1.0(開発コード名「The Luggage」)は、1.0系に次ぐ最新のブランチとなる。

 HD動画対応強化として、HDビデオ再生時にCPUの負荷を軽減するGPUデコード機能が加った。GPUデコードはWindows Vistaおよび7、Linuxで利用でき、H.264およびVC-1、MPEG-2形式のデコードで利用できる。この機能はWindowsのDxVA2 APIやLinuxのVAAPIを使用して実装されているとのこと。また、OpenMax IL APIによるDSPデコードもサポート。Blu-Rayビデオの字幕やMPEG-4ロスレスサポート、米GoogleのWeb M/VP8サポートなども追加されている。

 システム面では新たにアドオン/スクリプトフレームワークが導入され、VLCをカスタマイズすることが可能となった。この機能はluaを用いて実装されており、プレイリストの操作やVLCの機能拡張などが可能とのことだ。

 なお、VideoLan Projectでは米AOLの要請を受けて「SHOUTcast」機能を削除したことも発表している。SHOUTcastはAOLが権利を持つストリーミング配信システムで、インターネットラジオの配信などに使われている。SHOUTcastサービスの利用にはフリーソフトウェアライセンスとは互換性がないAOLのライセンスが必要であるため、AOLからSHOUTcastサポートを排除するよう求められたという。AOLのライセンスはソースコードの配布を制限したり、ツールバーの同梱を求めるものであったため、VideoLAN ProjectはSHOUTcastモジュールを除去する決定を下したとのこと。VideoLAN ProjectはSHOUTcastではなく同様の機能を持つオープンソースのストリーミングシステム「icecast」を利用するよう述べている。

VideoLAN Project
http://www.videolan.org/

「VLC 1.1.0」ダウンロード
http://www.videolan.org/vlc

Press Release about Shoutcast Removal in VLC
http://www.videolan.org/press/2010-1.html