Free Software FoundationもGoogle Book Search和解案に抗議

 フリーソフトウェアを推進するFree Software Foundationは9月8日(米国時間)、米Googleと米国の作家団体Authors Guildらが合意したデジタル書籍検索サービス「Google Book Search」の和解案に抗議する文書を司法当局に提出したことを明らかにした。フリーライセンスの下で配布される著作物への保護が不十分としている。

 GoogleがAuthors Guildらと合意した和解案では、絶版本や著作権所有者のわからない本のデジタル化を進め、Google Book Searchで検索、プレビュー、購入が可能となる。著作者は売り上げの63%を得ることができるなどの条項も盛り込まれている。同和解案は現在、連邦裁判所による承認待ちの状態にある。

 Free Software Foundationによると、この和解案は、「GNU Free Documentation License(GFDL)」や「Creative Commons Attribution-ShareAlike」などのフリーライセンスを利用する作者のニーズに対応しておらず、制限のある著作権のものと同じ扱いになるという。Googleは、GFDLが保証している自由を確証することなくGoogle Bookの読者に著作物を表示・配布することになり、Googleにメリットをもたらす、と警告している。Free Software Foundationの法務担当者、Brett Smith氏は、「Google Book Search和解案は、報酬を得たい作者の利益を追求したものであって、自分の著作物を共有し、自由に変更できるようにしたいという作者の利益を満たすものではない」と述べている。

 GFDLは主として技術ドキュメンテーション向けのライセンスだが、Wikipediaなど幅広く利用されているという。

Free Software Foundation
http://www.fsf.org/