HTML 5のデフォルトオーディオ/ビデオコーディックは「undefined」に

 World Wide Web Consortium(W3C)で「HTML 5」仕様の策定を進めるIan Hickson氏(米Google所属)は、HTML 5で新たに導入されるオーディオとビデオの両要素について、特定仕様の利用義務付けをなしとする意向を発表した。

 HTML 5の仕様開発を進める作業部会WHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)のメーリングリストで、Hickson氏が明らかにした。

 Hickson氏は6月29日と7月2日の電子メールで、HTML 5で新たに加わるについて、デフォルトのコーデックを特定しない結論に至ったと記した。理由は、ベンダー間の合意が得られなかったため。これまで、特許ロイヤリティ不要などの理由から、オープンソースの「Ogg Theora」「Ogg Vorbis」が検討されていたが、反対意見があったという。

 Hickson氏によると、米Appleはハードウェアサポートの欠如と不確実な特許状態を理由に「QuickTime」でTheoraをサポートしないとしたという。Googleは「Chrome」でH.264とOgg Theoraを実装したが、H.264のライセンスをサードパーティに提供できないこと、You Tubeで採用するにはOgg Theoraのクオリティが不十分であるとしているという。

 H.264については、ノルウェーOpera SoftwareとMozillaが実装を拒否しており、米Microsoftはのサポート意思そのものを表明していないという。

 このように、ブラウザベンダー間で見解や対応が分かれており、「全ブラウザベンダーからのサポートを得られていないコーディック要件を基準に組み込むことは危険だ」とHickson氏は記している。

 HTML 5ではビデオとオーディオ要素を加えることで、Webブラウザ内で動画ファイルを再生可能となる。

WHATWG「HTML 5」のページ
http://whatwg.org/html5