WHATWG、HTML標準規格を「随時アップデートする」方針へ変更

 HTML5の仕様を開発中の作業グループWHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)が、HTML規格のバージョン番号を廃止する方針であることを発表した。W3C(World Wide Web Consortium)がHTML5のロゴを発表したばかりであり、W3Cは「先に発表したHTML5のロゴのローンチが混乱を招いた」と謝罪している。

 WHATWGはAppleやMozilla、Opera、GoogleなどのWebブラウザ開発者らが参加するHTML関連ワーキンググループ。W3Cとは異なるスタンスでHTMLの開発を行っており、HTML5についてはW3CとWHATWGが共同で策定を進めている。

 WHATWGのIan Hickson氏が1月19日、WHATWGのブログにて方針の変更を発表した。Hickson氏は背景として、2009年当初にはHTML5の仕様を2011年に固め、2012年にスナップショットを発表することにしていたが、HTMLの新機能へのニーズは非常に高く、既存のHTML規格についても機能の追加とメンテナンスを継続しなければならないという事情を説明している。そのため、バージョン番号をつけずに「現存のドキュメントが最新のHTML規格となる」方針を明確にし、随時新しく登場する技術を定義していくとしている。

 2009年の時点でWHATWGは「バージョン番号を付けない」開発モデルに転換を行っていたそうだが、「HTML5」という言葉が広く使われていたため、名称の変更については決定を遅らせていたという。WHATWGでの作業については変化はないとのこと。

 新方針では、WHATWGのHTML仕様は「生きている標準(living standard)」とみなし、随時アップデートが行われるとのこと。開発途中のものを「スナップショット」としてとして切り出すことは今後は行わない。Hikson氏は「これまでのHTMLのどのバージョンよりも成熟しているので「ドラフト」と呼ぶことはおかしい」と記している。なおW3Gは、予定通りにHTML5のスナップショットを公開する意向という。

 Hickson氏が新しい方針を発表する前日(1月18日)、W3GはHTML5のロゴを発表した。だが、1月21日、W3GのIan Jacobs氏はこのロゴ発表が混乱を招いたことを謝罪している。HTML5ロゴは幅広い支持を得ることを目的にローンチしたが、「公式なロゴではないとしながらも、注目を集めるローンチとなったために、一部の人に混乱を招き、軽視する人もいた」と記し、謝罪している。

 W3Gは18日、ロゴが示すものとして「CSS、SVG、WOFF、および、モダンなWebアプリケーションを構築するのに使われるその他の技術」としていたが、21日に更新した最新のFAQでは、「モダンなWebアプリケーションの基礎であるHTML5」と変更されている。また、CSS3はHTML5仕様の一部に入らないとしている。

WHATWG
http://www.whatwg.org/

W3C
http://www.w3.org/

HTML5ロゴに関するFAQ
http://www.w3.org/html/logo/faq