IT分野で批判をやり過ごして成功するには

 システムに障害が発生してプロジェクトに遅れが出ると、ITの専門家が過酷な労働環境や、ときには個人批判にさらされることは珍しくない。激しい「批判攻撃」にどう対処するかがキャリアを左右することもある。うまく対処すれば、周囲から一目を置かれる存在になる。だが、批判にうまく対処できなければ、プロとしての信用に傷がつき、感情的な痛手を被ることさえある。成功は、こうした攻撃によるストレスにやられる前にスキルを確立するところから生まれる。本稿では、厳しい批判をくぐり抜け、さらにそうした状況で自らを成長させるという重要な方策について検討する。

 まずは、状況を緩和する。途中で口をはさまずに相手の意見に真摯に耳を傾けること。おそらく、うまくいっていないことや適切に行われていない何かがあるはずだ。批判を口にする人は抱えている不満の矛先をあなたに向けているに過ぎない。それがあなたの責任であってもなくても、そうした不満を把握することができる。その間は自己弁護を展開して感情的で不毛な罵り合いに発展させないように、プロ意識を発揮する。最初の賢明な措置は、冷静さを失った人物の毒気を抜くと同時に重要な情報を収集することである。感情を抜きにしないと問題解決のコミュニケーションはほとんど成立しないので、これは重要な一歩だ。事実に注目し、自分の関心を他人に示すときに役立つようにメモをとるとよい。これは、ダイナミックリスニングという大切なスキルで、こうした状況でしばしば重宝される。

 次に、状況を明確にする。緊張感を解いてからは、厳密な状況の把握が大事になる。批判攻撃は曖昧な言葉で行われ、本当の問題の解決に必要な具体的情報を欠いていることが多い。次のような質問で明確化すること。具体的に何が起こったのか。何がうまく機能していないのか。詳細な徴候として何が現れているのか。たとえ未熟なユーザでも重要な情報を提供してくれることがある。曖昧な不満に対しては、何についての不満がいつ、どのくらい、誰から出ているのかを明らかにする必要がある。問題が「ユーザの誤操作」にあることがはっきりすれば、詳しい情報が集まるにつれ、批判は急速におさまっていく傾向がある。ただし、堪忍袋の緒が切れるまで不満を貯め込む人もいるので注意すること。したがって、状況に具体性があるのか、それとも不特定多数の要因から生じた感情を単にぶつけられただけなのかをはっきりさせることが特に重要だ。

 続いて、事実を認める。明らかになった具体的状況の一部またはすべてが的を射たものであっても、ひるんではいけない。事実と思われることに同意することで、批判を無視しようとはしていないことをわかってもらう。大切な納期を守れなかった場合や自分のチームがインストール環境を台無しにしてしまった場合は、自己保身のための防御線を張ったり下手な言い訳をしたりするよりも明らかな点について同意を示すほうがよい。ただし、こうした同意はうわべだけのものにならないようにすべきである。単に折り合いをつける、または居心地の悪い場から逃れるために、一面だけの真実を受け入れてはならない。

 さらに、心から納得する。具体的な事実が得られたら、頭の中で十分に吟味しなければならない。そのうえで、問題の核心や自らが核心だと思う言葉を織りまぜながら相手の意見を言い換えることで確認をとり、自らの理解を確かなものにする。たとえば、「部下の技術者があなたとの約束に従わなかったと私は理解しているのですが」とか「新しいプログラムの使い方を誰もあなたに説明しなかったのですね」といった具合だ。特に批判攻撃の最中では、本当に重要な情報を見落としてしまうことが多い。また、問題の言い換えは、相手の話について行っているだけでなく批判の内容も理解していることを相手側に伝えることになる。興味深いことに、批判攻撃を始める人は、誰かが耳を貸してくれることを確かめたいという理由だけでその感情的態度を強めることがあるため、あなたが理解していることを示すことによって、その感情が速やかにおさまることがある。

 そして、自分の仕事をきっちりと把握して用意周到な状態でいること。すべての批判攻撃が認識された問題に対する感情的な反応として始まるわけではなく、批判的な攻撃が問題につながることもある。たとえば、不意に上司がやってきて、難解で専門的な質問をあれこれと浴びせられる恐れのある計画やプロジェクトについて、現状を確認しようとするかもしれない。そうした状況で働いている場合、この先起こり得る批判攻撃を回避する最善の防衛策は、多岐にわたる重要な状況の細かな場面を想定して予め準備をしておくことだ。そうすれば、「その件については、これから確認します」という返事を繰り返さずに済み、そうした返事も意味のあるものになってくる。さらなる利点として、概して批判的な攻撃にうまく対処すれば、しっかりと事態と掌握しているという目で他の人々から見られ、それ以降は批判の矢面に立たされることが少なくなる。備えをしておけば、日々の仕事で培われるプロとしての信用も高まる。この点は本稿の他のヒントと合わせて行うことで、悪環境の下での忍耐力を高める一助になるはずだ。簡単に言うと、プロとしての備えをしておくことは批判的な攻撃を受けながらの成長を可能にし、また優秀なIT管理者、監督者の証でもある。

 要するに、批判攻撃に対処するときには、そうした批判を個人的に受け止めることのないように全力を尽くし、合理的な問題解決に進む前に緊張や興奮を取り除いてから、それぞれの出来事から教訓を学び取るようにすればよい。最後に、職場で批判を受けたからといってその問題を家庭にまで持ち込まないこと。仕事の問題を個人的な問題にしてしまってはならない。そうした心配は、望みもしない不幸な状況となって返ってくることが多いからだ。

Ken Myers博士は米海軍を退役後、ノースウェスト航空常勤副社長を務め、応用組織科学を長年研究している。現在はオンライン大学Touro University Internationalでビジネス運営/IT管理のCore Professorを務める。

Dwayne Florence米空軍大尉は現在、フロリダ州ケーブカナベラル空軍基地の第1宇宙打ち上げ部隊(1st Space Launch Squadron)の指揮官として勤務、オンライン大学Touro University Internationalで情報技術管理の修士課程に在籍している。

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