Microsoft、ODFのANSI承認に賛成票――ねらいはOpen XMLのISO承認か

 米国Microsoftは5月16日、電子文書フォーマットの「OpenDocument Format(ODF)」を、米国規格協会(ANSI)標準とすることに賛成票を投じたことを明らかにした。

 ODFは、IBMやGoogle、Novell、Sun Microsystemsなどの企業をはじめ、オープンソース・コミュニティも支持を表明している電子文書フォーマットである。Microsoftが採用している電子文書フォーマットの「Open XML」とは宿敵関係にあり、これまで標準文書フォーマットの座を巡って激しい戦いを繰り広げてきた。

 MicrosoftはODFのANSI標準承認に賛成票を投じた理由について、「顧客に多くの選択肢を提供するため」とコメント、同時にOpen XMLもANSI標準に承認されるよう働きかけていく姿勢を明らかにした。

 ODFは2006年5月、ISO(国際標準化機構)から標準規格として承認されている。一方、Open XMLは同年12月にECMA(欧州電子計算機工業会)より標準文書規格として承認されているものの、ISOの承認は得られていない。

 今回Microsoftが賛成票を投じた理由を、同社のコメントどおりに受け取る人は少ないようだ。

 Microsoftは今週、Linuxを含むオープンソース・ソフトウェアが同社の特許を侵害しているとして、オープンソース・ソフトウェアを提供しているベンダーらに損害賠償を請求する考えを明らかにしている。

 Microsoftによると、特許侵害件数は235に上り、その中には、同社の「Office」シリーズのライバルで文書フォーマットにODFを採用している「OpenOffice.org」の侵害件数(45件)も含まれているという。

 オープンソース技術の擁護者で米国ゲスマー・アップデグローブ法律事務所のアンドリュー・アップデグローブ氏は、自身のブログで、「Microsoftは一方で相手の規格を称賛しながら、もう一方でMicrosoftの特許技術を利用するなら対価を払えと警告している」と指摘する。

 さらに同氏は、「MicrosoftがODFをANSI規格として支持したことは、ODF陣営との不毛な戦いを終わらせようと見せかけているだけだ。今回のMicrosoftの行動は、Open XMLをISO規格として承認するかどうかを決める投票の際に、ODF支持者に賛成票を投じるよう仕向けるための“挑戦的行為”だ」と分析する。

 ちなみに、MicrosoftはODFのISO規格承認に賛成票を投じている。一方IBMは、Open XMLがECMAで標準文書規格として承認された際、唯一反対票を投じたと言われている。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)

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提供:Computerworld.jp