Oracle、PLMベンダーのアジャイル・ソフトウェアを買収――対SAP戦略を強化

 米国Oracleは5月15日、PLM(Product Lifecycle Management)ソフト・ベンダーの米国アジャイル・ソフトウェアを買収すると発表した。買収額は4億9,500万ドルで、買収手続きは7月中に完了する見込みだ。

 Oracleは、アジャイルの全株式に対し1株当たり8ドル10セントを現金で支払う。ナスダック市場におけるアジャイル株の15日の終値は7ドル8セントだった。

 PLMソフトウェアは、設計から開発、製造、流通、サポートに至る製品のライフサイクルを管理するもの。アジャイルは「Agile PLM」というPLMソフトウェア・スイートを提供している。

 Oracleの共同社長であるチャールズ・フィリップス氏は、「アジャイルの製品は当社のPLMソリューションの基盤となる」と、用意された声明の中で述べている。

 Oracleはこれまで多数のソフトウェア・ベンダーを買収してきた。ERPパッケージを手がけるピープルソフトやJDエドワーズ、BI(ビジネス・インテリジェンス)ベンダーのハイペリオン・ソリューションズなどはその一例だ。また、そうした大手ベンダーだけでなく、特定の業種/技術(インメモリ・データベース、アイデンティティ管理など)向けの製品を提供している小規模企業も積極的に買収している。

 今回のアジャイルの買収は、どちらかと言えば後者のパターンに入る。アジャイルが有するPLM技術は、製造やライフサイエンスといった産業にも適用することができる。

 フィリップス氏は、アジャイルの買収によってあらゆる種類のエンタープライズ向けアプリケーションを提供するという同社の戦略が1歩前進したと述べ、「SAPユーザーに対し、新たな戦略的アプリケーションを提供できる」と、SAPへの対抗心をあらわにした。

 また、OracleのCEOであるラリー・エリソン氏も、アジャイルの買収はアプリケーション市場でのSAPのシェアを奪うことに貢献するとともに、Oracleの成長を加速させると語っている。

 ただしOracleは、買収の副産物とも言える、製品ラインの整理や買収企業の従業員の扱い、企業文化の衝突といった課題に取り組まなければならない。

 対するSAPは、企業買収に関してはむしろ別の戦略を採っており、自社開発が難しい技術に限定して、それを提供するベンダーを買収してきた。

 同社はここ数日、異例の過密スケジュールで3件の買収を行っている。まず5月8日に、CFO(最高財務責任者)向け経営管理ソフトのアウトルックソフトを買収すると発表した。6日後の14日には、アイデンティティ管理ソフトのマックスウェアと、コールセンター・ソフトのワイコム・コミュニケーションズを買収することを明らかにしている。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国Oracle
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提供:Computerworld.jp