Oracle、需要管理ソフト「Demantra」の新版をリリース――各アプリケーションのプランニング機能との連携を強化
同社は2006年6月、デマンドチェーン・プランニング機能の増強に向け、株式非公開企業のDemantraを買収した(買収金額は明らかにされていない)。 Demantraは、企業が自社製品に対する需要を予測し、全世界に張り巡らされたサプライチェーンの管理を改善するのに役立つとされている。
Oracleのサプライチェーン・マネジメント戦略担当バイスプレジデント、ジョン・チョーリー氏によると、25日にリリースが開始されたDemantra 7.1.1は、同社の「E-Business Suite」と「JD Edwards EnterpriseOne」の両方に対応するプランニング・アプリケーションとの統合機能を搭載している。
同社は、今後もDemantraをスタンドアロン製品として販売する予定だが、E-Business SuiteやJD Edwards EnterpriseOneに組み込んで出荷する計画もあるという。
Demantra 7.1.1は、Oracleのミドルウェア「Fusion」をサポートするほか、需要分析機能や予測機能も強化されている。同社は、DemantraとCRMソフトウェアのSiebelとの統合強化にも取り組んでおり、特定の販売促進キャンペーンが個々の製品の需要に及ぼす影響を検討する機能なども盛り込まれている。
Oracleが2005年1月にPeopleSoftを買収したのに伴って同社の傘下に入ったJD EdwardsとDemantraの間には、以前から長期的な協力関係が存在していた。チョーリー氏の見積もりによると、Demantraの顧客ベースのおよそ50~60%はJD EdwardsなどのOracleアプリケーションを使っており、残りの大半はSAPのライバル製品を使っているという。
Oracleは、過去に数多くの企業買収を繰り返しており、需要、サプライ、製品管理に関連する分野でも2件の買収を行った。1件は、2005年11月に行われた輸送管理ソフトウェア・ベンダーのグローバル・ロジスティクス・テクノロジーズ(ジーログ)の買収であり、もう1件は、製品ライフサイクル管理ベンダー、アジャイル・ソフトウェアの買収だ。アジャイルの買収金額は4億9,500万ドルで、来月には手続きが完了することになっている。
これらの企業買収に共通しているのは、最大のライバルであるSAPに対する競争力を強化したいというOracleの強い意向だ。チョーリー氏は、 Demantraのライバルとして、SAPのほか、i2やJDA、ロジリティ、CASなど数多くのニッチ・ベンダーの製品を挙げている。
同氏によると、サードパーティ製品との連携機能を維持しながら、自社アプリケーションとの統合を強化するというのがOracleの買収戦略だという。
例えば、Oracleがジーログを買収した際には、製品名もOracle Transportation Managementに変更されたが、Demantraのブランド名はこれまでのところ維持されている(Demantraは、『Demand is our mantra』を短縮したもの)。
チョーリー氏は、ブランド名を見直すというのも1つの決断だと語り、「名称については、これまでやや一貫性に欠ける面もあった」と付け加えた。
Demantraは、名の知れたブランド名だが、従来の製品名を維持していることで、Oracleの製品と十分に統合されているということを一部の顧客に認識してもらえない可能性もある。
Oracleも、他のアプリケーション・ベンダーと同様、ホステッド・ソフトウェアのかたちで提供したほうが効率的と思われるアプリケーションの選定に取り組んでいるという。チョーリー氏は、「Demantraをオンデマンド化する可能性もある」としたうえで、OracleがDemantraのホスティングを行うことも可能だが、他のベンダーに任せることも考えられると述べている。
チョーリー氏によると、Oracleは自社内でもDemantraを使用するもようだ。近年ソフトウェア・ベンダーやサービス・ベンダーも、自社のデマンドチェーンやサプライチェーンに顧客のフィードバックを組み込んだり、法規制で定められた各種標準に適合させたりする必要性を認識するようになっており、Demantraのようなツールに注目が高まっている。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
米国Oracle
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提供:Computerworld.jp