Oracle、「JD Edwards World」の新版を発表へ――旧J.D.エドワーズのERP製品が9年ぶりにバージョンアップ

 米国Oracleは今週、ラスベガスで開催中の同社主催イベントで、「JD Edwards World」の新バージョンを正式に発表する。Oracleはピープルソフト買収時に同ERPスイートの新版提供を約束していたが、それがようやく果たされた格好だ。

 JD Edwards Worldは、もともとはJ.D.エドワーズの製品で、2003年にピープルソフトが同社を買収した後は、開発の一時ストップなどが伝えられていた。しかし、2005年にOracleがピープルソフトを買収し、JD Edwards Worldを自社製品ポートフォリオに加えたことで計画が変わった。Oracleが同ERPパッケージに深くかかわっていくと約束したのはこのときだった。

 1998年以来のメジャー・バージョンアップ版となるJD Edwards World A9.1は、ラスベガスで開催中のユーザー・コンファレンス「Collaborate 2007」(4月15日-19日)で正式に発表される予定だ。新しいバージョンには、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に対応する機能など、1,250に及ぶ機能強化が盛り込まれている。

 JD Edwards World A9.1はすでに一部顧客の手に渡っている。家具メーカーのラシェル・ブリストルもその1社で、今年1月からA9.1の試験運用を実施中だ。同社の情報システム担当バイスプレジデント、マイケル・カルドウェル氏は、会計および製造プロセスで使用しているJD Edwards World A7.3からA9.1への移行は比較的容易だったと語っている。

 カルドウェル氏によると、同社ではA9.1の本格的な導入を今月から開始する計画だ。同社がA9.1で特に注目しているのは、企業が製品販売後に行うサービスとサポートを支援するための新しいワランティ機能だという。

 一方、電話サービス・プロバイダーのマタヌスカ・テレフォン・アソシエーションは、Collaborate 2007に参加し、A9.1の早期導入企業と意見交換を行う予定だ。同社のビジネス・システム・アナリストであるガリー・ライリー氏は、9年ぶりの新バージョンに関心を持っているものの、現在使っているA7.3の堅牢な機能を失いたくないと明かす。「優れた特性を失うことなく、機能を強化したいというのが本音だ」(同氏)

 OracleのJD Edwards World担当ゼネラル・マネジャー兼バイスプレジデント、ジョン・シフ氏はA9.1について、「この10年間で最も重要なJD Edwards Worldのリリースになるだろう」と述べている。また、SOA技術のおかげで、JD Edwards Worldを他のアプリケーションと連携させるのが容易になったと強調する。

 JD Edwards World A9.1は、従来バージョンと同様、かつてAS/400と呼ばれていたIBMの「iSeries」とDB2データベース上で稼働する。また、「Microsoft Excel」などのデスクトップ・ツールと統合可能なJavaベースのインタフェースを搭載しており、生産性も高いという。さらに、従来の「Green Screen」インタフェースと、カスタマイズ可能な新しいWebベースのポイント&クリック・インタフェースも提供される。

 コンサルティング会社テクノロジー・エバリュエーション・センターズのアナリスト、プレドラグ・ジャコブリエビッチ氏は、今回のA9.1を評価している1人だ。「OracleがJD Edwards Worldの機能強化に関して期待以上の仕事をしていることがうかがえる」(同氏)

 しかし、その一方で同氏は、Oracle FusionとJD Edwards Worldとの整合性をどのように実現するのかを顧客やパートナーにきちんと説明するよう求めている。

(マーク・ソンジニ/Computerworld オンライン米国版)

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