Ubuntu Developer Summitレポート:X.orgの強化、ドライバ論議、装飾効果

X.orgは、UDS(Ubuntu Developer Summit)で非常に注目され議論された。不思議ではない。Ubuntuはデスクトップに焦点を合わせたディストリビューションなのだから。バイナリ・ドライバは、このサミットのホットな話題となった。また、Ubuntu開発者は、もっと堅牢なX.org用設定システムをどう提供するか、Xに問題が起きた場合にどう対処するかについても、意見を交わした。

オープンソースのグローバル化が組織と個人に恩恵をもたらす

オープンソース・ソフトウェアは、世界中に分散した実質的に管理のオーバーヘッドが生じない個人協力者からなる大規模ソフトウェアプロジェクトの管理に役立てることができる。オープンソースの考え方が商用ソフトウェアの業界にますます浸透するにつれ、こうしたオープンソース現象(「オープンソースのグローバル化」と私は呼んでいる)の特性は、技術系の仕事に対してIT業務のオフショアリング以上に大きな影響を与えているかもしれない。しかし今回は(ITのオフシェアリングの場合と違って)、この変化を受け入れる人々にとってはそれほど悪い話ではない。

FSFに辟易するLinus Torvalds氏

先週金曜(9月22日)、GPLv3のドラフトを非難する声明書が数名のカーネル開発者によって公表された。これを受けて、Software Freedom Law Center(SLFC)の議長Eben Moglen氏は昨日、GPLv3の策定プロセスへの参加を求める「新たな案内状」をカーネル開発者に宛てて出すことになった。Moglen氏の文面に対し、Linus Torvalds氏は、GPLv3に対する自分の立場ははっきりしており、FSFにはいい加減うんざりしていると応じた。

Linus Torvalds氏がGPLv3策定プロセスに参加しない理由

Linus Torvalds氏はGNU General Public License(GPL)バージョン3の草案作成に参加していないが、それは何故なのだろうか? これまでにもTorvalds氏は、しばしば同プロセスおよびGPLv3の草案そのものに対する批判をしてきており、また最近ではカーネル開発者間での非公式な意見調査において同ライセンスに対する反対票を投じていることから、この草案プロセスに同氏が参加しない理由は明白のようにも思われる。Torvalds氏は、委員会という形態を嫌悪する理由として、こうした運営方式では同氏が好ましいと考える寄与が成されないこと、および、他のすべてのライセンスをGPL下に囲い込もうとしているFree Software Foundation(FSF)との間に、理念上の相違がある点を挙げている。

フリーソフトウェアイニシアティブ理事長、新部 裕氏へのインタビュー

フリーソフトウェアイニシアティブ(Free Software Initiative of Japan:FSIJ)の理事長を務める新部 裕氏は、ベテランのDebian開発者であり、根っからのハッカーでもある。インドのバンガロールで開かれた第4回GPLv3国際会議(Fourth International Conference on GPLv3)での彼の講演の後、フリーソフトウェアとその発展を促す彼の活動が日本でどの程度受け入れられているかを知るために話を伺った。

報奨金制度の提案に起因する、Debian開発者の活動意欲に関する論争

現在、自らをDunc-Tankと名乗る開発者たちの集団が、特定のプロジェクトを完成させたDebian開発者に対して金銭的な報酬を支払うための準備を進めている。こうしたDunc-Tankによる活動の第一目的は、Debianの次期バージョンをスケジュールどおりにリリースさせることにあるのは分かるとしても、このアナウンスについて懸念されるのは、以前にもプライベートな議論として取り上げられたことのある問題、つまり「従来は個人的な動機から仕事を進めてきたフリーソフトウェア開発者に対し、唐突に金銭的な報酬が与えられるような事態になったらどうなるか」というものである。

自分の好みのカスタムPlanetの構築

GNOME、KDE、Ubuntu、Fedora、Debian、Apacheなどのメジャーなオープンソース系プロジェクトに共通しているのは、Planetによるフィードリーダサイトが存在して、開発者たちのブログ情報を収集していることである。そもそもPlanetソフトウェアはPlanet GNOMEおよびPlanet Debianを運用するために開発されたものであるが、現在ではその他多数のオープンソース系プロジェクトでも利用されるようになっている。こうしたPlanetを自分専用にカスタマイズするのは実は簡単な作業であって、いくつかのステップを踏むだけで、好みのブログを対象とした情報収集をさせることができるのだ。あるいは、お気に入りプロジェクトに関する情報を発信させる、といった用途に利用してもいいだろう。

2人の「お婆さんハッカー」にインタビュー

Black Hatのようなカンファレンスのすばらしい点の1つは、新しい友人ができることである。とりわけ、才能に恵まれた相手に着ていたLinux Tシャツを褒められたような場合はそうだ。こうしてお近づきになったのがTerri GilbertとBecky Baceの両女史、これまでに出会ったギークやセキュリティ専門家の中でも最も注目すべき2人だ。年齢を推測するような野暮な真似をするつもりはないが、多分「お婆さんハッカー」と呼んでも彼女たちは気を悪くしないだろう。

Reiser4を取り巻くLinuxカーネルの政治力学

どうしてReiser4ファイルシステムはLinuxカーネルに取り込まれていないのか? ここ最近カーネルメーリングリスト上でこうした疑問に関する討論が展開されていたが、それは歯切れの悪い議論でしかなく、カーネル開発とは理性的な意見交換に基づいて実行されると思いこんでいた人々を幻滅させるのに充分なものであった。というのも、いずれの陣営も自分たちは技術的なメリットについて述べているのだと主張はしているのだが、いつしか議論の流れは、既存の慣例や方針を遵守すべきかという問題にすり替わってしまうのである。そして、感情的な対立が露わになるのも常であった。

ソースコードの配布とGNU GPL

GNU GPLとは、プログラムの(0)実行、(1)解析と変更、(2)再配布、(3)改変バージョンの配布という、基本的な4つの自由をすべてのユーザに与えることをその目的としている。このうち1番目と3番目の自由については、ソースコードを入手できることが必須である。実際私たちがGNU GPLを制定した際には、再配布者に対し、ユーザによるソースコードへのアクセスを可能にすることを要件として定めておいた。この要件は、多少の余分な作業を求めることにはなるが、ユーザの自由を擁護するためには本質的に必要なものである。必要なソースコード一式をユーザがアクセスできる体制を確保しておくことは、配布者に余分な負荷をかけないよう配慮することよりも重要なはずだ。