Mozilla、ローカライズのための仕様とツールを提供する「Fluent 1.0」を公開

 Mozillaは4月17日、自然な翻訳のためのローカライズ仕様やツールを提供する「Fluent 1.0」を公開した。

 Fluentはローカライズのための仕様、実装、ベストプラクティスを集めたもの。Mozilla自身がFirefoxの開発プロセスで利用しており、実際に100近くの言語の翻訳で使われているそうだ。Fluentにより、翻訳者は自然なローカル言語の翻訳を作成できるという。

 これまでのローカライズではソース言語を1対1でマッピングするという手法を取るため、翻訳元言語の文法による制約を受けるという問題があった。たとえばフランス語の「connecté」「connectée」「connectés」「connectées」のように名詞や形容詞、過去分詞が女性/男性/中性で変化する言語や、たとえば同じ「設定」でも「Settings」や「Preferences」など、OSによって同じ機能でも呼び名が異なるといったケースで問題が発生していたという。

 Fluentではソース言語をできるだけシンプルにし、1対1ではなく非対称にすることで文法とスタイルに対応する。言語を分離させることで、ソース言語から独立して各ローカライゼーションで翻訳の複雑さをコントロールできるという。ソースコードへの変更も発生しない。

 公開したFluent 1.0はファイルフォーマットの仕様となり、翻訳を保存するファイルフォーマットであるFluent Syntaxが初めて安定扱いとなった。合わせて、JavaScript、Python、Rustのパーサー実装がベータとしてリリースされている。任意のテキストエディタでFluentファイルを編集でき、デスクトップやモバイルアプリ、Webサイト、SNSなどのローカライズにも利用できるという。これを利用して、開発者は文法的に正確な翻訳を作成でき、その言語の表現力を活用できるとしている。

Fluent
https://projectfluent.org/