米Microsoft、「TypeScript 3.0」を公開
米MicrosoftのTypeScript開発チームは7月30日、最新のメジャーリリースとなる「TypeScript 3.0」を公開した。プロジェクト参照などの機能が導入されている。
TypeScriptはJavaScriptをベースに拡張を加えたプログラミング言語。JavaScriptと互換性があり、JavaScriptが持たない静的型付け機能の追加や文法の拡張が行われている。
TypeScript 3.0は、2016年9月に公開された2系からのメジャーリリースとなる。メジャーリリースだが、後方互換性のない変更は少なくアップグレードは容易としている。
TypeScriptプロジェクトがほかのTypeScriptプロジェクトに依存できるProject References(プロジェクト参照)を導入した。設定ファイルである「tsconfig.json」内でほかのtsconfig.jsonを参照できるもので、依存性の特定によりコードを小規模なプロジェクトに容易に分割できるという。ビルドの高速化につながるとしている。
あわせて、プロジェクト参照のためのAPIも導入した。外部ツールなどはこれを利用してインクリメンタルな作業を提供できるという。一方で、外部ツールを利用しない方が良いシンプルなアプリやライブラリ向けに、トランスパイラのtscに「–build」モードを加えた。「tsc –build」(「tsc -b」)コマンドでプロジェクトセットを取り出し、依存性と合わせてビルドできるという。
エラーメッセージとユーザーインターフェイスを強化した。ガイドを加えることで、エラーの原因と結果がわかるという。
タプル型を強化し、パラメーターリストをモデリングできるようになった。新しい型としてunknown型を導入した。anyと同様に任意の値を割り当てられるが、anyとは異なり型アサーションなしには割り当てできない。インターフェイスなどの型宣言には利用できない。
LibraryManagedAttributesにより、JSX名前空間で型エイリアスをサポートした。JSXタグが受け付ける属性をTypeScriptに伝えるヘルパーとなる。
このほかにも多数の機能強化が加わっている。
TypeScript 3.0は、パッケージ管理ツール「NuGet」経由でインストールできる。エディタは「Visual Studio 2017」(バージョン15.2以降)、「Visual Studio 2015」(Update 3以上が必要)などが対応している。。「Visual Studio Code」はInsidersリリースのインストールにより利用可能で、「Sublime Text 3」はPackageControl経由で利用できる。
TypeScript
https://www.typescriptlang.org/