「GIMP 2.10」リリース

 オープンソースで開発されている画像編集ソフトウェア「GIMP」の開発チームは4月27日、最新版「GIMP 2.10.0」を公開した。画像処理エンジン「GEGL(Generic Graphics Library)」の統合を進め、さまざまな機能の導入が可能となった。

 GIMP(GNU Image Manipulation Program)はWindows、macOS、LinuxなどさまざまなOSで利用できるオープンソースの画像編集ソフトウェア。

 GIMP 2.10は、2012年5月に公開されたバージョン2.8に続くリリースとなる。本リリースで最大のフォーカスとなったのは、画像処理エンジンGEGLの統合。この作業はバージョン2.6から続けられており、本バージョンではほぼすべての処理がGEGLベースとなった。これによってさまざまな機能が実現したという。また、色深度は最大32ビットをサポートし、PSD、TIFF、PNG、EXR、RGBEファイルをネイティブに近いクオリティで出力できるようになった。

 一部機能でマルチスレッド処理をサポートし、マルチコアCPUで処理性能が向上した。GEGLでの処理だけでなくコア部分の処理でもマルチスレッドで実行されるようになっている。また、GPUによって処理を行う機能も開発されており、現在オプションでこの機能が利用できる。

 リニアなRGB色空間を導入した。色管理も新しくなり、プラグインではなくコアの機能に入った。これによってイメージプレビューなどすべてのカスタムウィジェットに色管理を導入できるという。色管理はLittleCMS v2を利用、ICC v4プロファイルを使うことができる。

 ツールでは拡大や回転といった複数の変形を簡単に行うことができるという「Unified Transform」を始め、「Warp Transform」、「Handle Transform」などが加わった。Blend(ブレンド)が名称変更してGradient(グラデーション)となり、デフォルトのショートカットは「G」となった。

 TextツールではCJK(中国語、日本語、韓国語)などの言語向けに高度な入力メソッドをサポートした。IMEとプラットフォームに依存するが、入力候補の表示などが自然なものとなり、入力手法に関連した不具合も修正した。

 使い勝手を強化し、ファイルフォーマットではTIFF、PNG、PSD、FITSファイルの読み込み、書き出しが可能になった。JPEG 2000プラグインを書き直し、WebPもサポートした。PDFプラグインでは、パスワード保護されたファイルをインポートできるようになった。Exif、XMP、IPTC、GPS、DICOMメタデータの閲覧と編集ができるプラグインを用意した。

 Spiral、Supernova、Panorama Projectionの3種類のフィルタで、キャンパス上にコントロールをレンダリングできるようになった。今後もGEGLベースの他のフィルタに拡大していくという。

 HiDPIのサポートやユーザーインターフェイスの刷新も行われ、作業に集中できるという「Dark」テーマとアイコンがデフォルトで有効となった。テーマはデフォルトのDarkに加え、Gray、Light、Systemの4種類を用意する。アイコンはテーマから分離されており、4種類のサイズから選択できる。

 このほかにも多くの機能が加わっている。

GIMP
https://www.gimp.org/