オープンソースのペイントソフト「Krita 3.0」リリース、アニメーション関連機能がコアに統合

 オープンソースのデジタルペイントソフト「Krita」を開発するKrita Foundationは5月31日、最新のメジャーリリース版となる「Krita 3.0」(Animation Release)を発表した。コアでのアニメーションサポート統合など、大規模な変更が加わっている。

 Kritaはオープンソースの2Dデジタルペイントソフト。ポップアップパレット、ブラシエンジン、リソースマネージャーなどの機能を特徴とする。RGBAやGray、CMYKA、Lab、YCbCといったカラーモードをサポートし、独自フォーマットのkra形式に加え、ora、ppm、pbm、png、jpeg、tiff、xbmなどのフォーマットもサポートする。ライセンスはGPLv2。

 Krita 3.0は2009年に公開されたKrita 2.0に続くメジャーバージョン。2015年に行ったクラウドファウンディングサイトKickstarterのキャンペーンでの資金調達により開発した機能が多く含まれている。なお、現在展開中のKickstarterキャンペーンは、目標金額である3万ユーロをすでに達成している。

 コマ撮り方式のアニメーション機能をサポートした。複数のフレームを持つラスターレイヤー、さまざまな再生速度のサポート、前後のフレームを重ねるオニオンスキン、連番画像のインポートとエクスポート、などの機能を持ち、CSVインポートとエクスポートも可能という。

 アニメーション処理のパフォーマンスも強化し、再生用のキャッシュ機構、大きなキャンバス向けのインスタントプレビュー、スペックが高くない端末向けのコマ落ちなどの機能を用意する。

 レイヤー操作では、2.9で導入した複数レイヤーの選択とドラッグ&ドロップ機能を拡大し、移動、キャンバス上での選択、結合、複製などが可能となった、複数のレイヤーに対し、同時に名称をつけたり、ブレンディングモードを変更するなどのマス編集が可能となったほか、グループ化も可能になった。レイヤー管理のユーザーインターフェイスも改善した。

 グリッドと基準線のドッカーを導入、グリッドと基準線の見た目を個別に調整したり、編集できるようになった。グローバルグリッドではなくドキュメントごとに保存でき、テンプレートを設定できる。多くのツールでグリッドと基準線のスナップをサポートしたほか、スナップ設定に迅速にアクセスできるようショートカット(Shift+S)も用意する。

 このほかにもユーザーインターフェイス、ショートカットなどたくさんの機能が強化されている。

 Krita 3.0はプロジェクトのWebサイトより入手できる。Windows、Linuxに加えて2.9よりMac OS Xもサポートするが、Mac OS Xは一部機能が利用できない。プロジェクトによると、Mac OS Xのフルサポートは2016年後半にリリース予定の次期「Krita 3.1」で実現する予定。なお、Krita 3.0は設定とリソースを前バージョンの2.9と別のファイルに保管するため、バージョン2.9と3.0を平行して利用できるとしている。

Krita
https://krita.org/

KickstaterにおけるKritaの資金募集プロジェクト
https://www.kickstarter.com/projects/krita/krita-2016-lets-make-text-and-vector-art-awesome