オープンソースのペイントツール「Krita 4.0」リリース、多くの新機能を導入

 オープンソースのペイントソフトウェアKritaの開発チームは3月22日、新しいメジャーリリース版となる「Krita 4.0.0」を公開した。SVGベースのベクターツールの強化など、多数の機能強化が加わっている。

 KritaはWindowsやmacOS、LinuxなどさまざまなOSで利用できるデジタルペイントソフトウェア。ラスタ形式の画像編集だけでなく、ベクター形式の画像を扱うこともできる。

 Krita 4.0は、2016年に公開されたバージョン3.0に続く最新版。当初2017年中に公開する予定だったが、テストやその他の問題により大きく遅れたという。

 本バージョンではベクター画像のファイルフォーマット関連処理を書き直し、新たにSVGベースで処理を行うようになった。今まではOpenDocument Graphics format(ODG)をベースとしていたが、ODGは元々ドキュメント向けのファイルフォーマットであり、Iinkspaceなどのアプリケーションではきちんと動かないなどの問題があった。SVGはW3Cの標準で、さまざまなプログラムで開くことができるため、ほかのアプリケーションでの利用が広がるとしている。

 また、グラデーションツールをデフォルトツールにマージしたり、Inkspaceから直接シェイプのコピー&ペーストが可能になるなどの強化も加わった。ベクターツールのユーザー体験も強化した。

 テキストツールも改良された。安定性、依存性、シンプルな使い勝手などにフォーカスしたもので、こちらも内部にSVGを利用している。テキストエディタのポップアップも多機能になった。

 Kritaは2015年・2016年とクラウドファンディングで資金援助を募集しており、これらの改良はその際の目標として挙げられていたものとなる。さらに支援金額が目標金額に達した後の「Stretch Goals」として設定されていたPythonスクリプティング機能についても本バージョンで実装された。Pythonを使って画像処理やUIの設定などを行うことができるもので、Pythonで実装されたプラグインを管理するPython Plugin Managerも用意される。なお、Windows 7/8環境でこの機能を利用するには別途ランタイムの導入が必要となる。

 なお、後方互換性については100%ではないと警告されている。Krita 4はKrita 3やそれ以前のバージョンのファイルのインポートが可能だが、Krita 3やそれ以前のバージョンのKritaでは、バージョン4で保存したベクターとテキストオブジェクトについてはインポートできないとしている。なお、全てのプラットフォームでバージョン4と3は並行して動かすことができるという。

 Krita 4はプロジェクトのWebサイトより入手できる。

Krita
https://krita.org/