Khronos Groupが「OpenCL 2.0」を完成、コンピュータビジョン向け「OpenVX 1.0」の暫定仕様も発表
標準化団体のThe Khronos Groupは11月18日、異機種混在環境における並列プログラミングのための規格「OpenCL 2.0」を公開した。翌日には、コンピュータビジョン向けライブラリ「OpenVX 1.0」の暫定仕様も公開している。
OpenCLは並列プログラミングのための仕様を定めた規格で、マルチコアCPU、GPU、Cellアーキテクチャプロセッサ、DSPなどが混在する環境でのリソースを一元的に扱うためのAPIとプログラミング言語を定めている。さまざまなプラットフォームに対応し、高性能サーバーからモバイル端末まで幅広い分野での応用を想定している。
OpenCL 2.0は7月の暫定仕様公開を経ての完成となった。主要な新機能としては、ツリーやリンク付きリストといった複雑かつポインタを含むデータを異なるデバイス間で共有するための共有仮想メモリや、繰り返し実行される処理をより効率的に並列化できる「Nested Parallelism」、引数のためのアドレス空間を指定すること無しに関数を定義できる「Generic Address Space」などの機能が導入されたほか、sRGB画像や3D画像の出力などを含む画像処理サポートの改善なども行われている。
また、C11で定義されたアトミック処理のサブセットや、OpenCL向けに最適化されたパイプの実装なども提供される。Androidサポートも強化された。
OpenCL 2.0の翌日に暫定仕様が公開されたOpenVXは、画像センサーや認識、2D/3D画像処理などコンピュータビジョン分野向けのハードウェアアクセラレーションAPI。ジェスチャー追跡、ロボット、スマートビデオ監視、自動運転支援システムなどでの利用に合わせて、コンピュータビジョンアルゴリズムの性能および消費電力を最適化することを目指すという。
OpenVX 1.0では中核となるデータ構造、コンピュータビジョン、画像処理などで構成されており、今後開発者らからのフィードバックを得て仕様を完成させる。
The Khronos Group
http://www.khronos.org/