GNUが30周年、16年ぶりの「GNU Hurd」新版も登場
GNU Projectは9月27日、誕生から30周年を迎えた。これを記念して、Free Software Foundationはイベントやプログラムを展開しており、16年ぶりの最新版となるGNUのカーネル「GNU Hurd 0.5」や「GNU Mach 1.4」、「GNU MIG 1.4」などのリリースも行われた。
GNU Projectは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のArtificial Intelligence Labに在籍していたRichard M. Stallman氏が1983年の9月27日、ニュースグループnet.unixとnet.usoftに向けて「UNIXを自由に」という言葉とともにその構想を投稿したのが始まり。そこでStallman氏はUNIX互換のソフトウェアシステム「GNU(Gnu’s Not Unix)」を書き、それをフリーで提供するつもりであるとし、貢献を呼びかけた。その後、GNU Compiler Collection(GCC)、GNU C Library(glibc)など、多数のコンポーネントが開発されてきた。
Stallman氏が創設し代表を務める非営利団体Free Software Foundation(FSF)では9月より個人ユーザーがフリーソフトウェアを推進するための日課を定めた月間プログラム「GNU-a-Day」を展開している。たとえばフリーソフトウェアのPDFリーダーを使おう」(5日目)、「電子メールの署名に、フリーのフォーマットでドキュメントを送るように要求する文言を加えて、標準と相互運用をサポートしよう」(24日目)などが並んでいる。27日には、30周年記念の限定トラベルマグ(25ドル)を発売した。
GNU Projectは同日、マイクロカーネルGNU Mach、MachのインターフェイスジェネレータのGNU MIG、MachをベースとしたOSカーネルGNU Hurdの最新版を公開した。Hurdは汎用目的のカーネル開発を目指すプロジェクトで、Stallman氏が提唱した。UNIXカーネルやLinuxカーネルなどが実装するファイルシステム、ネットワークプロトコル、ファイルアクセス管理などの機能を実装するもので、16年前に公開されたバージョン0.2以来の最新版となる。32ビット/x86のみをサポートしており、64ビット版は開発中という。
GNU Machは高速、軽量を特徴とするマイクロカーネルで、カーネギーメロン大学のMach 3.0と互換性がある。1.3は11年前に公開された1.2以来の最新版。GNU MIGはRPCをCコードに変換するツールで、GNU MachとGNU Hurdのコンパイルに必要となる。
3プロジェクトともGNU Hurdチームがメンテナンスしており、ライセンスはGPL。各プロジェクトのWebサイトより入手できる。
GNU Hurd
http://www.gnu.org/software/hurd
GNU Mach
http://www.gnu.org/software/hurd/microkernel/mach/gnumach.html
GNU MIG
http://www.gnu.org/s/mig/
Free Software Foundation
http://www.fsf.org/
「GNU-a-Day」
https://www.gnu.org/gnu30/gnu-a-day/