英Canonicalが「Ubuntu 12.04」を発表、UnityとOpenStackがLTSに

 英Canonicalは4月26日(英国時間)、最新のLinuxディストリビューション「Ubuntu 12.04 LTS」(Precise Pangolin)をリリースした。2年ぶりにリリースされる長期サポート(LTS)版となり、デスクトップGUIの「Unity」やクラウド技術「OpenStack」が特徴となる。

 Ubuntu 12.04 LTSは2011年10月に公開された「Ubuntu 11.10」(Oneiric Ocelot)以来のリリースとなり、LTSとしては2010年4月公開のバージョン10.04(Lucid Lynx)以来となる。Canonicalはサポート期間5年のLTSを2年に1度公開するサイクルをとっており、12.04はサーバー版とデスクトップ版ともに2017年までメンテナンスやセキュリティ修正を受けられる。

 Ubuntu 11.10では先のLTSである10.04以降に導入された新機能や特徴の安定や洗練を図った。Linuxカーネルはバージョン3.2.12が採用されている。

 デスクトップでは11.04で導入されたデスクトップインターフェイス「Unity」の強化が大きな特徴となる。性能と安定性が強化され、ビジュアル効果などの完成度も向上している。検索とアプリケーションランチャーを合わせた最新のメニューシステム「Heads Up Display(HUD)」も導入されている。Unityは2Dと3Dの両方が搭載されている。

 アプリケーション関連では、デフォルトの音楽プレイヤーが「Banshee」から「Rhythmbox」に戻り、オンラインストレージ/バックアップの「UbuntuOne」も再デザインされた。このほか、LibreOffice 3.5.2や、Firefox 11、Thunderbird 11などのアプリケーションも搭載される。企業向け機能として、米Citrix Systemsや米VMware、米Microsoftなどのデスクトップ仮想化技術のサポートも特徴となる。

 サーバー向けの「Ubuntu Server」では、クラウドが大きくフォーカスされている。プライベートクラウド「OpenStack Essex」をサポート、OpenStackの参照プラットフォームとなり、サポート期間中は今後リリースされるOpenStackの新版も提供していくという。米Amazonのクラウドユーザー向けには、AWS(Amazon Web Services)との互換を実現する「Awsome(Any Web Service Over ME)」を先に発表していた。

 サーバープロビジョニングツール「Metal as a Service(MaaS)」も導入された。複数の物理サーバーから構成される「グループ」単位でサーバーを管理・構成できるという。MaaSの土台となるサービスオーケストレーションツール「Juju」もアップデートされた。

 Ubuntu 12.04 LTSはデスクトップのUbuntu Desktop、サーバーのUbuntu Serverが用意されており、それぞれ32ビットおよび64ビット版が提供されている。また、Ubuntu Core、Edubuntu、Kubuntu、Lubuntu、Mythbuntu、Ubuntu Studio、Xubuntuといったカスタマイズされたバージョンもリリースされている。

 なお、次期版である「Ubuntu 12.10」の開発コードは「Quantal Quetzal」になるとのこと。

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