MozillaがThunderbirdの開発方針を変更、今後は新機能追加を行わずメンテナンスのみに
Mozillaは7月6日、メールクライアント「Thunderbird」の開発に関する方針を発表した。今後は新機能の開発は行わず、セキュリティアップデートの提供のみを継続するという。理由については「革新的な製品にするという目標に到達しなかった」と説明している。
ThunderbirdはMozillaが開発・提供するオープンソースのメールクライアント。Firefoxと同じUI・レンダリングフレームワーク「Gecko」ベースで開発されており、RSSリーダー機能も搭載している。WindowsおよびMac OS X、Linuxなどで動作し、全世界で2000万人以上のユーザーが使用しているという。最新版は6月に公開した「Thunderbird 13」。
Mozilla Foundation会長のMichale Baker氏が自身ブログで、「Thunderbirdはイノベーション(革新)が生まれる源で、今日のインターネットライフを牽引するリーダーとなっているか、それともユーザーのニーズを満たしており、メンテナンスのみが必要とされる製品なのか」という点から検討した結果、後者であると判断したと記している。その結果、「最も重要なことは継続的な安定性の提供であって、イノベーションを続けることは優先順位から見て高くない」と今後の方針を記している。
この方針に基づき、今後は「Extended Support Release(ESR)」プロセスでセキュリティアップデートを提供する。ESRでは重大なセキュリティ問題の修正のみを行い、機能の改善や安定性の向上は行われない。この方針に基づいてリリースされる初のThuderbird ESRは11月20日にリリースの予定。Baker氏は同時に、コミュニティによる新機能開発のメカニズムを提供することも明らかにしている。
Mozillaは2008年にThunderbird開発のためのMozilla Messagingを立ち上げたが、2011年にチームをMozilla Labsに統合した。Baker氏は、「数年の間、Thuderbirdが革新的な製品となってモダンなインターネットメッセージングをオープンで革新的な分野にし、活発な貢献者が増えるよう挑戦してきた。これまでのところ、われわれはこの目的に到達していない」と記している。
Mozilla
http://www.mozilla.org/
Thunderbird
http://www.mozilla.org/thunderbird/