商標で米Oracleと合意できなかったHudsonコミュニティ、「Jenkins」への名称変更を含めた今後の計画を提案

 継続的インテグレーション(CI)のためのビルド自動化ツール「Hudson」開発コミュニティの開発者Andrew Bayer氏は1月11日、「Hudsonの将来」というブログ記事で、新名称「Jenkins」への変更を含め、プロジェクトの今後について提案した。Hudsonの商標保有を主張する米Oracleとの話し合いを持った結果、と説明している。

 Hudsonは米Sun Microsystemsで開発が進められてきたオープンソースプロジェクト。OracleによるSun買収により、Oracleの下に入った。Hudsonコミュニティは2010年11月よりjava.netからGitHubに移行する作業に入ったが、Oracle側はHudsonの商標保有を主張、コミュニティとの間に不協和音が生じたかに見えた。

 Bayer氏によると、その後、Bayer氏、Sun時代にHudsonプロジェクトを開始した川口耕介氏(現在CloudBees所属)、CloudBeesのCEOが中心となって、Oracleと話し合いを重ねたという。その結果、Hudsonという名称の権利について双方が満足がいく内容で合意できなかったため、Bayer氏らは名称変更が最善策と判断したという。Oracleは、川口氏がSunに勤務していたことを根拠に米国と欧州で商標登録を出願中であり、「商標を保有するOracleは、Hudsonという名称を名乗るというHudsonプロジェクトの権利をいつでも無効にできる」と述べ、プロジェクトの独立性を重視した上での提案と説明している。

 今後の案として、1)名称をJenkinsに変更する、2)インフラをOracle保有のサーバーから移行し、メーリングリストやGitHubレポジトリで使われているHudsonという名称を変更する、3)正式なガバナンス体制ができるまでの3~6カ月の間、暫定ガバナンスとして、川口氏、Bayer氏、Oracleが承諾すればOracleのHudsonエンジニアのWinston Prakash氏の3人がプロジェクト統治を行う、などを提案している。

 Bayer氏はまた、Jenkinsの商標が認められた後は、管理をSoftware Freedom Conservancy下に移管するつもりであるほか、Oracleのプロジェクト参加を呼びかけるとも記している。また、この提案については、Hudsonのフォークというより、既存プロジェクトの名称変更とみるのがふさわしいとも述べている。

 OracleもHudsonプロジェクトについて間もなく提案を行うことになっており、その後どちらの提案がよいのかコミュニティに投票を求めるという。

Hudsonプロジェクト
http://www.hudson-ci.org/