Rubyは業務システムにも十分な適用性を備える――IPA調査報告書

 情報処理推進機構(IPA)は2009年9月7日、Webアプリケーションで採用が進むRubyについて、自治体や企業などの業務システム開発への適用性を評価した「自治体・企業等の情報システムへのRuby適用可能性に関する調査」を公開した。業務システム分野へも十分な適用性を備えていることを確認したという。

 調査報告書では、業務システムなどに求められる機能要件10項目(ファイル・出入力、テキスト、ネットワーク、データベースなど)、非機能要件45項目(保守プロセス、運用プロセスなど)について評価。併せて、実システムを用いたパフォーマンス評価とスケーラビリティ評価、Ruby活用で先進的な取り組みを行っている企業・自治体へのヒアリングも実施した。

 その結果、Rubyは「性能や開発技術の面においては十分に実力を持ったものであって、業務システムへの適用についても、おおむね問題は無い、あるいは回避・代替の方法は十分にある」と結論づけた。併せて、開発・運用のガイドラインも示している。

 また、技術検証報告書では、Rubyを用いた入出力処理や、アプリケーションとしての処理プロセスを想定したテストを実施。ファイル操作やデータベースアクセスなどで、チューニングの有無で性能に大きな差が出ることを確認したが、こうした課題にはチューニング手法が有効で、またRuby単体やライブラリなどの利用で改善ができない場合でも、他の外部ツールをうまく活用することで十分運用に堪えるソフトウェアを開発できるとしている。技術検証報告書には、検証に使ったチューニング手法も記載した。

 このほか、より多くの処理を行うためには、サーバ数を増やすスケールアウトの手段がRubyでの開発においても有効で、リニアに性能が出ることも確認したという。

「自治体・企業等の情報システムへのRuby適用可能性に関する調査」調査報告書
http://www.ipa.go.jp/software/open/ossc/download/ruby_report20090907.pdf

「自治体・企業等の情報システムへのRuby適用可能性に関する調査」技術検証報告書
http://www.ipa.go.jp/software/open/ossc/download/ruby_performance20090907.pdf

IPA
http://www.ipa.go.jp/