不況がOSS導入を促進、サポート対応と将来性への不安が懸念材料 IDC Japanの利用実態調査

 IDC Japanは2009年10月15日、「国内オープンソースソフトウェア利用実態調査」を発表した。国内企業3939社を対象に8月に実施したもので、具体的にオープンソースソフトウェアの導入を検討している企業は7.1%。この約半数が、金融危機以降の不況によるIT投資削減が検討のきっかけになったと回答。不況がOSS導入の促進要因になっている様が浮かび上がった。

 既にオープンソースソフトウェアを導入済みの企業は17.1%。実施済みのプロジェクトでは「Apacheを使用したWebサイトの開発」が23.5%と最も多く、「Linuxサーバーの新規導入」が22.3%で続いた。検討中企業も合わせ、実施を検討しているプロジェクトでは「OSSのオフィスソフトウェアの導入」が20.5%で最も多く、2位が「WindowsサーバーからLinuxサーバーへの移行」(19.2%)。次が「OSSの業務アプリケーション(CRM、ERM、グループウェアなど)の導入」だった。

 オフィスソフトウェア導入の関連では「Linuxデスクトップの導入」も16.1%にのぼり、デスクトップ環境へのOSS導入機運が高まりつつあるという。また、OSS業務アプリケーションの利用も今後増えるとしている。

 利用実態調査で聞いたOSS使用のメリットでは、「導入コストを削減できる」が46.4%で最も多く、以下、「運用コストを削減できる」(37.5%)、「ソフトウェアの選択肢が拡がり、自社に最適なものを探すことができる」(28.1%)、「ベンダー依存から解放される」(25.8%)の順。TCO削減と、自由度が高くなることに期待している。

 逆にデメリットでは、「緊急時のサポート対応が迅速にできない」が34.2%で最も多く、以下、「バージョンアップなど将来のプロダクトが見えない」(28.5%)、「使用するOSSとそのコミュニティがいつまで存続するか分からない」(26.6%)と続いた。サポート対応と将来性への不安が挙がっている。

 同社のアナリストは、「(OSS導入で)最大の懸念材料となっているサポートについて、その範囲や対応するOSSの種類など内容を明確化し、メニュー化などを含めてユーザーに分かりやすいかたちで示すことが重要。また、活用するOSSについて、コミュニティの将来性や開発体制を分析し、ユーザーに不安を与えないOSSを選定していくことが必要」と分析している。

IDC Japan
http://www.idcjapan.co.jp/