VMwareとSAPが提携、すべてのSAPアプリをVMware対応へ

 米国VMwareは12月11日、ドイツのSAPが自社の全エンタープライズ・ソフトウェアをVMwareの仮想プラットフォームに対応させる方針であることを明らかにした。

 VMwareのバイスプレジデント、パラグ・パテル(Parag Patel)氏によると、SAPはアプリケーション統合プラットフォーム「NetWeaver」をはじめとする自社のERP/CRMアプリケーションなどを、VMwareの仮想化ソフトウェア・スイート「VMware Infrastructure」で構築したWindowsおよびLinuxベース(64ビット版)の仮想マシンに対応させる予定だという。

 またPatel氏によると、SAPは推奨されるハードウェアとして、Dell、Fujitsu-Siemens、Hewlett-Packard(HP)、IBMのサーバを挙げているという。

 Patel氏は今回の提携について、「(われわれにとって)明確なサポートとなる。これにより顧客は開発段階であれ、稼働段階であれ、複数のOSでSAPのアプリケーションを実行することができる」とコメントした。

 現在SAPは4万社以上の顧客を、VMwareは2万5,000社の顧客を、それぞれ擁している。Patel氏は「すでにVMware上でSAPのアプリケーションを稼働させている顧客がどのくらい存在するのか正確な数はわからないが、(その顧客数が)数百あるいは数千だとしても驚きではない」と語った。

 Patel氏によると、VMware上でSAPのアプリケーションを稼働させている顧客は今後、技術的な問題が発生した場合には、SAPに問い合わせることができるようになるという。ただし仮想化に関する問題の場合は、VMwareでも問い合わせを受け付けるとのことだ。

 今回のSAPとVMwareの提携は、勢力を増しつつあるライバルの米国Oracleに、両社が結束して対抗しようというねらいがある。

 SAPとOracleはエンタープライズ・ソフトウェア市場において長年のライバル関係にあり、その争いは法廷にも拡大している。Oracleは今年3月、SAPの子会社である米国TomorrowNowの従業員がOracleのオンライン・サポート・サイトから大量のコンテンツを不正にダウンロードしたとして、SAPを提訴している。

 一方、OracleとVMwareの間では、Oracleが自社のアプリケーションでVMwareをサポートする方針を発表するなど、“微妙な関係”が続いていた。しかしこの関係は、先月Oracleが開催した自社コンファレンス「Oracle OpenWorld 2007」で“破綻”したようだ。

 同コンファレンスにおいてOracleは、オープンソースのXenをベースとしたハイパーバイザ型サーバ仮想化ソフトウェア「Oracle VM」を発表しており、同ソフトウェア上でのアプリケーションのサポートを制限する方針を打ち出している。

 米国IDCのアナリスト、ミシェル・ベイリー(Michelle Bailey)氏は今回の提携について、以下のように指摘している。

 「現状では企業が仮想化環境でアプリケーションを実行する際、アプリケーション・ベンダーからのサポートが受けられないからといって、(仮想化環境での実行に)二の足を踏むケースは少なかった。しかし、今後はIT担当者がいない中小規模企業なども、仮想化の導入を検討するようになる。そうなれば、仮想化の導入で発生した問題を、アプリケーション・ベンダーがサポートするという姿勢は、(IT担当者がいない中小規模企業にとって)魅力的に映るはずだ」

(Eric Lai/Computerworld オンライン米国版)

SAP(ドイツ)
http://www.sap.com/
米国VMware
http://www.vmware.com/

提供:Computerworld.jp