「Oracleは仮想化環境へのライセンスに問題」――VMwareが指摘

 米国VMwareの仮想化プラットフォーム上で米国Oracleのソフトウェアを利用する企業は、Oracleからサポートを受けられなくなるとの観測が出ているが、VMwareは「その心配はない」との見方を示した。

 VMwareは、「Oracleは、11月12日に発表した『Oracle VM』以外の仮想化プラットフォーム上で運用される同社アプリケーションのサポートを取りやめようとしているように見える。だが、問題はこのことではなく、仮想化を導入した顧客に何倍ものライセンス料を課すソフトウェア・ライセンス・ポリシーを、同社が見直そうとしない点にある」と述べている。

 「顧客は、8倍とか10倍ものライセンス料は払いたくないと思っている。仮想化に対するOracleのライセンス体系は現状、大変な問題だ」と、VMwareのグローバル・パートナー&ソリューション担当バイスプレジデント、ブライアン・バイン氏は11月15日、Computerworld米国版の取材に対してこう語った。

 例えば、VMwareベースの仮想マシンでOracleデータベースを運用している企業が、1台の物理サーバから1つのデータベース・インスタンスを別の物理サーバに移動しようとする場合、使用する物理サーバごとにOracleデータベースのライセンスを購入しなければならない、とバイン氏は説明する。あるいは、仮想マシン上のアプリケーションに対して、サーバに搭載された4個のCPUのうち1個だけを割り当てている場合でも、CPU4個分のライセンスを購入しなければならないとしている。

 さらにバイン氏は次のようにも語っている。「ドイツのSAPや米国BEA Systems、米国IBMなどのソフトウェア・ベンダーは、自社製品が仮想化環境で使われることを想定し、それに適したソフトウェア・ライセンス・ポリシーを用意している」

 同氏によると、Microsoftも、完全ではないが建設的な方向に進んでいるという。そのうえで同氏は、「Oracleの対応は依然として立ち遅れている」と指摘する。

 その一方でバイン氏は、競合する仮想化プラットフォーム上で運用される自社アプリケーションのサポートをOracleが取りやめようとしているとの観測について、「実際には何も変化は見られない」と述べた。

 Oracleは2006年以来、VMware上で運用される自社アプリケーションのほとんど(データベースを含む)をサポートしており、多数の顧客が仮想化環境での運用を行っている、とバイン氏は語った。

 同氏は、OracleのサポートWebサイト(閲覧するには登録が必要)の「Metalink Note 249212.1」を引き合いに出し、15日時点でもOracleはこうしたサポートを正式に提供していると述べた。なお、Metalink Note 249212.1は、VMwareのサポートに関するOracleの正式な規定を説明したものである。

 またバイン氏は、OracleのCEOであるラリー・エリソン氏が14日、証券アナリストとの電話会見の中で、「Oracleの顧客は、VMware上で利用しているOracle製品のサポートを受けられるのか」というベア・スターンズのアナリストからの質問に対して、「基本的には受けられる」と答えた点に言及。Oracleが自社アプリケーションのVMwareへの対応を認定していないことを認めながらも、「顧客は引き続き同社からのサポートを利用できる」(バイン氏)との見解を示した。

 「OracleはVMwareの仮想化プラットフォーム上で使われる自社製品をサポートせざるをえない。なぜなら、Oracle製品とVMware製品を組み合わせて使っている顧客は、増加の一途をたどっているからだ」(同氏)

(エリック・レイ/Computerworld オンライン米国版)

米国VMware
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米国Oracle
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提供:Computerworld.jp