Red Hat、EclipseベースのJBoss開発ツールを出荷

 米国Red Hatは12月10日、Eclipseベースの統合開発環境(IDE)「JBoss Developer Studio」を出荷開始した。同製品には、各種オープンソース・ツールやランタイム・ソフトがあらかじめバンドルされているため、これらのコンポーネントをユーザー側で用意する必要はない。

 JBoss Developer Studioには、「JBoss Enterprise Middleware」や、アプリケーション開発のためのライフサイクル管理環境を提供する米国Exadelの技術などが使われている。「Red Hat Developer Studio」と呼ばれていたベータ版は、今年8月にリリースされて以来5万本以上がダウンロードされた。

 Red Hatの製品マーケティング・マネジャー、ブライアン・チェ(Bryan Che)氏は、同製品について、「リッチなWebアプリケーションやAjax(Asynchronous JavaScript)アプリケーションを構築するための強力なツールが統合されている。また、アプリケーション・サーバ、O/Rマッピング・ツールのHibernate、Webアプリケーション・フレームワークのJBoss SeamといったJBossランタイム・コンポーネントも実装している」と語る。

 さらにJBoss Developer Studioは、各種のEclipseツール、JBoss Enterprise Application Platform、開発用途のRed Hat Enterprise Linuxをバンドルするほか、Red Hat Networkへのアクセスも可能となっている。ツールは、Java EEやJBoss jBPM、Struts、Spring IDEなどの技術に対応する。

 JBoss Developer Studioを使えば、ディベロッパーが自分で各種の技術を収集したり、開発環境を構築したりする必要はない。Che氏は、「開発環境の構築は面倒な作業になることが多い」としたうえで、SeamとJBossアプリケーション・サーバの統合といった作業から解放されると語っている。

 またJBoss Developer Studioに実装されているExadelの技術には、EclipseツールとAjaxが盛り込まれているという。Exadelのソフトウェアは、今年3月に提携を通じてRed Hatに提供された。

 業界アナリストは、JBoss Developer Studioのインタフェースや、各種のオープンソース技術がパッケージされている点を評価している。

 米国の調査会社The 451 Groupのエンタープライズ・ソフトウェア・アナリスト、ビシュワナス・ベヌゴパラン(Vishwanath Venugopalan)氏は、同IDEについて、「JBoss Seamに重点を置いた、JBossミドルウェア製品対応の魅力的なユーザー・インタフェースだ」と語っている。同氏によると、Eclipseのプラグインやランタイム・コンポーネントを個人で収集することも可能だが、この作業はかなり面倒だという。

 Che氏によると、JBoss Seamは、Java Community Processに提出されており、Web Beansと呼ばれる新しいJava標準として検討作業が進められているという。「Ajaxアプリケーションを構築するための使いやすい標準技術になるだろう」(同氏)

 JBoss Developer Studioのサブスクリプション価格は99ドル。ただし、サポート料金は含まれていないという。サポート契約の費用は、年間3,500ドルからとなっているが、この契約を結べばRed HatとJBossのすべてのソフトウェアにアクセスできる。

(Paul Krill/InfoWorld米国版)

米国Red Hat
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提供:Computerworld.jp