Apple、「iPhone」のネーティブ・アプリ開発キットを公開へ――方針を180度転換、「活気ある開発コミュニティが生まれる」とジョブズ氏
AppleのWebサイトには、同社CEOスティーブ・ジョブズ氏の、以下のようなメッセージが掲載されている。
「率直に言おう。われわれはサード・ベンダー製のネーティブ・アプリケーションをiPhoneに搭載したいと考えている。サード・ベンダーが(iPhoneとiPod touchのネーティブ・アプリケーションの)開発に参加することで、活気ある開発コミュニティが生まれ、ユーザーにさまざまなアプリケーションを提供できるようになる。とてもエキサイティングだ」
これまでAppleは、iPhone用のネーティブ・アプリケーション開発を自社のみで行っており、サード・ベンダーが開発できるのは、iPhoneに搭載されたWebブラウザ「Safari」上で動くWebベースのアプリケーションに限定されていた。今回の発表は、この方針を180度転換するものだ。
ジョブズ氏は以前、セキュリティの確保を理由にiPhoneのSDK公開を否定していた。iPhone発売の1カ月前に同氏は、「追加されるサード・ベンダー製のアプリケーションが多いほど、iPhoneのクラッシュの可能性も高まる」と語っていた。
SDKのリリースを来年2月とした理由についてジョブズ氏は、「開発者向けにプラットフォームを提供する一方で、iPhoneユーザーをウイルスやマルウェアから守るという、正反対の作業を同時に実行しようとしているため」と説明している。
ただし今回の方針転換は、“青天のへきれき”というわけではない。
ジョブズ氏は今年5月、iPhoneにサード・ベンダー製のアプリケーションを搭載するかどうかの質問に対し、「辛抱強く待ってもらえれば、要望にこたえられると思う」と発言。将来的にSDKを公開することをほのめかしていた。
米国Gartnerのアナリスト、ヴァン・ベーカー氏も、「(今回の発表には)驚いていない。ユーザーもサード・ベンダー製のアプリケーションを利用したいと考えている。現時点でもiPhoneを“改良”している開発者は存在する。AppleもiPhoneのアプリケーションで、外部プログラマーと対立するのは経営上得策ではないと判断したのだろう」と語る。
ただし、ジョブズ氏がセキュリティ・リスクを懸念していることに変わりはない。
Appleは今年9月、iPhoneのセキュリティ・アップデートを通じ、AT&T以外のキャリアを利用不可能とする対策を講じている。ベーカー氏によると、AppleはAT&Tとの独占契約を守る必要があるため、iPhoneのSIM(加入者識別モジュール)ロック解除に対しては、今後も強固な対策を講じる見通しだという。
(グレッグ・カイザー/Computerworld オンライン米国版)
米国Apple
http://www.apple.com/
提供:Computerworld.jp