Google、携帯電話向けプラットフォームを正式発表へ

 米国Googleは11月5日(米国時間)、携帯電話向けアプリケーションを作成するためのプラットフォームを正式発表する見通しだ。Googleはかねてからうわさされていた携帯電話分野への進出について、コメントを控えてきた。だが情報筋によると、同社は11月3日~4日にかけて携帯電話事業者、携帯電話端末ベンダー、ソフトウェア・ベンダー、ハードウェア・ベンダーらと最終交渉を行い、11月5日午前11時(米国東部標準時、日本時間6日午前1時)に計画の詳細を発表するという。

 情報筋によると、Googleが発表するのはオープンソースのモバイル・アプリケーション開発プラットフォームだという。同プラットフォームのコンポーネントには、OS、アプリケーション開発用API(Application Programming Interface)セット、ミドルウェア・レイヤ、カスタマイズが可能なユーザー・インタフェース、携帯電話向けブラウザが含まれる予定だ。また、標準インスタント・メッセージング(IM)プロトコルもサポートされるという。

 なお同プラットフォームは無料で公開され、共通の基幹部分以外は改変や拡張ができる見通しだ。

 またほかの情報筋によると、30以上の大手パートナー企業が、Googleの計画を支持しているという。その中にはIntel、Qualcomm、Broadcom、NVIDIA、スプリント・ネクステル、Tモバイル、チャイナ・モバイル(中国)、テレフォニカ(スペイン)、NTTドコモ(日本)、LG電子(韓国)、ハイテク・コンピュータ(台湾)などが含まれている。なお、本稿執筆時点ではNokia、Verizon、Appleなどの企業は支持を表明していない。

 Googleが同プラットフォームをリリースする目的は、携帯電話端末に対応するモバイル・アプリケーションの開発を簡素化し、開発コストを低減させることで携帯電話分野の技術革新を促進させることだ。同プラットフォームがMicrosoftやSymbianなど、既存のモバイル・プラットフォームの強力なライバルになることはまちがいない。

 また携帯電話端末などからGoogleのオンライン・サービスを利用するユーザー数が拡大すれば、同社の広告収入も増加することになる。

 現在のモバイル広告の市場規模は小さいものの、今後数年間で同市場は急激に成長すると予想されている。米国オプス・リサーチが先週発表した調査結果によると、北米と欧州西部をあわせたモバイル広告支出額は、2007年は1億680万ドル程度と見込まれているものの、2012年までには50億8,000万ドルに拡大する見通しだという。

 オプス・リサーチは「モバイル端末の機能が充実すれば、ユーザーは携帯電話からインターネットを利用する時間が増加し、結果としてモバイル広告市場の拡大につながるだろう」と分析している。

 Googleだけでなく、AOLやYahoo!、Microsoftなどの大手オンライン・サービス・ベンダーはこぞって携帯電話端末に対応すべく、WebサイトやWebアプリケーションを積極的に改良している。

 また携帯電話向けプラットフォームを提供することで、Googleはこれまで友好関係にあったAppleと競合することになりそうだ。

 米国Appleは10月17日、同社のスマートフォン「iPhone」とWi-Fi搭載の音楽プレーヤー「iPod touch」用のソフトウェア開発キット(SDK)を、サードパーティ・ベンダーに公開すると発表している。SDKのリリースは、2008年2月になる見通しだ(関連記事)。

 11月5日に発表されるパートナー・リストにAppleが含まれていなければ、Googleが携帯電話市場に本格的に参入することをAppleは歓迎していないと考えてよいだろう。そうなれば今後のAppleとGoogleの関係は興味深いものとなる。なぜならGoogleのCEOエリック・シュミット氏は、Apple取締役会のメンバーを務めているからだ。

 Googleのプラットフォームのコンポーネントがリリースされるのは、早くても2008年半ばの見通しだ。情報筋によると、いずれはGoogleブランドの携帯電話機が登場する可能性もあるという。

(ホアン・カルロス・ペレス/IDG News Service マイアミ支局)

米国Google
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提供:Computerworld.jp