「アジャイル開発とPHPの相性は良好だ」――ZendとAdobeが強調
Zendのロットマン氏は10日、米国カリフォルニア州バーリンゲームで開催中のコンファレンス「ZendCon」(10月8~11日)で講演する前に、InfoWorld米国版のインタビュー取材に応じた。
その中で同氏は、事前に緻密な計画を立てるのではなく、イテレーション(反復)と呼ばれる短いサイクルでソフトウェアを開発するというアジャイル・プロセスがオブジェクト指向の性質を持つPHPに良く馴染むと力説した。
アジャイル手法では、アプリケーションを細かく分けて開発する。そのため、要求条件が変わっても、コードをオブジェクトとして扱い、個別に修正することができる。
Zendは、アジャイル開発手法を使ってアプリケーション・サーバ「Zend Platform」を開発した。しかしロットマン氏は、この手法が自分たちの組織に適しているかどうかは開発者の側で検討する必要があると指摘する。
「アジャイルで成功を収めるかどうかは組織内に受け入れられるかどうかにかかっている。(組織内には)無秩序だと感じる人もいるかもしれないが、こうした声に適切に答えられなければ、アジャイルの導入に向けた議論を提起することはできない」(同氏)
RIAとPHP
一方、Adobeのリー・ブリムロー氏も同じく10日、ZendConでRIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)開発をテーマに講演し、社内でPHPを使用していることを明らかにした。
ブリムロー氏は、「私はこれまでColdFusionのコードを1行も書いたことはなく、社内ではいつもPHPを使っている」と語った。 ColdFusionは、マークアップ言語を組み合わせたAdobeのサーバ・サイドJavaプログラミング・ツールで、インターネット・アプリケーションの開発を目的としている。
ブリムロー氏によると、RIAは、ブラウザ・ベースのWebアプリケーションだが、従来のデスクトップ・アプリケーションと同レベルの機能を提供するという。同氏は、有力なクライアント・サイドのRIA技術として、AdobeのFlashやFlex、Ajax(Asynchronous JavaScript)とXML、Microsoftが開発中のSilverlight、Sun Microsystemsが開発中のJavaFXなどを挙げた。
同氏によると、RIAでは、HTMLやCSS(Cascading Style Sheets)よりもはるかにリッチなユーザー・インタフェースを提供できるという。ただし、RIAには、検索エンジンへの対応の問題など、潜在的なデメリットもある。
ブリムロー氏は、「この問題の解決方法については、まだ完全には解明されていない」と語っている。
同氏は、AdobeのFlexの特徴をPHPと対比してこう説明する。「Flexがクライアント・サイドの技術なのに対し、PHPはサーバ・サイドの技術だが、どちらもオブジェクト指向である。また、統合開発環境(IDE)のFlex BuilderとZend Studioは、Eclipseをベースにしている」
PHPとFlexを統合するための手段はいくつかある。ブリムロー氏によると、XMLを使うのが最も単純な方法だが、JSON(JavaScript Object Notation)のシリアル化手法も使うこともできるという。
今回ブリムロー氏は、デスクトップで稼働するインターネット・アプリケーションを開発するための実行環境「AIR(Adobe Integrated Runtime)」にも言及した。同氏は、現在Adobeが開発中の同技術について、「『ブラウザのことは忘れ、デスクトップ・アプリケーションの開発のことだけを考えればよい』というのが基本的なメッセージだ」と語っている。
AIRは、ネットワークの検知、ファイル入出力、ドラッグ&ドロップ、クリップボード・アクセスなどの機能をサポートする。
(ポール・クリル/InfoWorld 米国版)
Zend Technologies(イスラエル)
http://www.zend.com/
Adobe Systems(米国)
http://www.adobe.com/
提供:Computerworld.jp